ロシアの侵略によって、かつては観光客で賑わっていたクリミア半島は今や静まりかえっています。2014年以来、この半島はロシア人観光客によるバカンスの楽園とされてきましたが、2023年6月から始まったウクライナ軍の反撃により、クリミアは戦時体制に入り、観光客の姿はほとんど見られなくなりました。
ウクライナの攻撃がクリミアに及ぼす影響
クリミア半島はウクライナの反撃の標的とされており、最近では8月24日にウクライナ特殊部隊による海上からの攻撃、翌日にはドローンによる攻撃が行われました。さらに、クリミアとロシア本土、ウクライナ南部を結ぶ多くの橋が繰り返し攻撃を受けています。
観光業は壊滅的な状況
戦争の影響を受けた観光地でバカンスを楽しむことは、多くの人にとって避けたい状況です。このため、ウクライナ戦争が勃発して以来、クリミア半島の観光客数は急激に減少し、旅行予約が相次いでキャンセルされています。2023年に入ると、ホテルの一部は予約すら来なくなったそうです。
クリミア当局は観光客を引き寄せようと奮闘
観光が経済の中心であるクリミアは、観光客の不足に対抗すべく、大幅な価格割引や無料サービスを提供し、夏季のホテル価格が3割下落しました。それにもかかわらず、8月の平均予約率はわずか40%で、ホテルの多くは夏になっても空室の状態が続いています。クリミアでは現在、軍用機が頻繁に上空を飛行し、軍用車両が市街地を行き来しており、観光客を引き寄せる努力も実を結びにくい状況です。
富裕層は避け、低予算の観光客のみが残る
ロシアの富裕層はクリミアの危険性を避け、代わりに別の避暑地に向かっており、現在クリミアに滞在している観光客は、比較的予算の低い人々で、キャンプを楽しんだり、格安ホテルや民宿に宿泊したりしています。しかし、国際的にはクリミアはウクライナの領土であると認識されており、ロシアの侵略は国際社会で認められていません。クリミア半島はウクライナに返還され、ロシア人は外国の観光客としてクリミアを訪れるべきであるとの見解が広まっています。
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