約93万年から81万年前までの更新世に、人類の個体数はわずか1280人まで減少していたことが明らかになりました。現在、私たちの地球上には80億人もの人が暮らしており、人類は地球上で最も繁栄している生物の一つと見なされています。しかし、この強大な存在である人類も、約93万年前から11万年前までの期間にわたり、個体数がわずか1280人まで減少した時期があったのです。
ゲノム解析から示されたボトルネックの証拠
研究チームは、人類における深刻な人口減少をもたらしたボトルネックの痕跡を追求するため、アフリカ内の10の人口集団とアフリカ外の40の人口集団からゲノム解析を行うための装置である"fitcoal"を開発しました。その結果、アフリカ人のゲノムにおいて、祖先の個体数が絶滅寸前まで減少した深刻な個体群ボトルネックの証拠を発見しました。研究チームによれば、91万年前から83万年前の更新世時代、気候変動の影響により、人類はわずか1280人まで個体数を減少させたと推測されています。
実際の化石証拠も限られている
実際に、95万年前から65万年前のボトルネック時代に存在したホモ・ハイデルベルゲンシスの化石は、ほんのわずかしか発見されていません。これは、厳しい気象変動が弱体な人類の個体を直撃し、個体数を急激に減少させ、滅亡の危機に追いやった一つの証拠となる可能性があります。
ボトルネックの危険性
ボトルネックとは、ある時点で生物の個体数が急激に減少する状態を指します。ボトルネックに陥ると、その生物の多様性が失われ、近親交配が進むため、病気に弱い個体や疾患を持つ個体が増加し、生物が絶滅の危険にさらされる可能性が高まります。
人類の生き残りは奇跡
ボトルネックの厳しさを考えると、僅か1280人まで個体数が減少した人類が80億人まで増加したことは奇跡的な出来事です。私たちは万物の霊長として自負していますが、実際には奇跡の連続の中でここまで生き延びてきたことを考えると、謙虚な気持ちを抱くべきかもしれません。
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