中国政府は、都合が悪い歴史を改変することで知られていますが、今回の出来事は注目に値するものです。中国で発売された「崇禎: 勤勉な亡国の君」という歴史書が、発売からわずか1か月で回収されたと言われています(2023年10月17日までに回収)。なぜこの本が問題視されたのか、その背後には習近平主席の影響があるようです。
回収されたのは明の最期の皇帝、崇禎帝の歴史
この歴史書は、明朝の最後の皇帝である崇禎帝を取り上げており、その歴史を詳細に説明しています。この本の表紙には、「支配者が勤勉であればあるほど国は滅びる」というメッセージが記載されており、これが習近平主席と結びつけられることを避けるために販売が禁止されたとされています。そのため、出版業者は「印刷の問題」を理由に、書店やインターネットでの販売を停止する通知を出しました。
崇禎帝と習近平は似ている?
では、崇禎帝と習近平主席はどのように似ているのでしょうか? 通常、中国の歴史において滅亡する君主は、無知で腹心の側近に政権を任せ、享楽的な生活を送りながら国を滅ぼすというイメージがあります。しかし、崇禎帝は異なりました。彼は非常に勤勉で有能で、宦官の魏忠賢を排除し、優れた政治家である徐光啓を登用するなど、前任の無能な皇帝とは対照的に行動しました。しかし、崇禎帝は猜疑心が非常に強く、部下を信用せず、在位期間中に多くの高官を処刑し、明朝の滅亡につながる重大な決定を下しました。特に、山海関で女真族の勃興を抑えていた名将、袁崇煥を処刑したことは、明朝の滅亡に大きく寄与したとされています。
表紙の煽りが中国政府を刺激した可能性
一方、習近平主席も非常に勤勉で仕事熱心なリーダーとして知られており、最近では側近を次々と排除していることでも注目されています。実は、この「崇禎: 勤勉な亡国の君」は2度目の発行で2016年に発行された時には、問題視されることはありませんでした。しかし、今回はその表紙のメッセージが、中国当局の神経に触れ、習近平主席との関連性を指摘されたため、問題となったのでしょう。
▼こちらもどうぞ
毛沢東の遺体は現在どうなっているのか?【中国の赤い星の現在】