症状進行の速さから「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者報告数が941人に上った事が国立感染研究所の発表で分りました。これは、2019年の894人を上回り過去最多です。致死率30%とされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症」から身を守るには、どうすればいいのでしょうか?
ご注意
この記事では、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が日本で拡大しているというニュースを解説していますが、それらは、なんら医学的な知見を含むものではありません。実際の「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」については医師や感染症センター、厚生労働省など専門機関にお問い合わせ下さい。
どうやって感染する?
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」は主に「A群溶血性レンサ球菌」によって引き起こされる感染症です。このA群溶血性レンサ球菌は、健康な人の咽頭や消化管、表皮などに普通に存在する細菌です。しかし、手足や口内の傷を通し、この菌が本来存在しない皮膚の脂肪や筋肉などの組織に入り込むと、稀に、A群溶血性レンサ球菌の放出する毒素で「壊死性筋膜炎」という致死的な「軟部組織感染症」になり、僅か十数時間で細胞の壊死や多臓器不全を起こし、命を落としてしまう事もあります。また、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」に感染する人は50歳以下が多く、既往症も関係ないので若く健康でも感染する可能性はあり注意が必要です。
初期症状は?
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の初期症状は、喉の痛み、吐き気、発熱や体のだるさがあります。一見するとインフルエンザに似た症状が続き、さらに症状が進行すると、筋肉や脂肪における炎症、呼吸障害や意識障害が進行します。疑わしい症状が出たら、病院を受診しましょう。また「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」は五類感染症に分類されていて、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。
予防のポイント
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が、なぜ、四肢と体幹の軟部組織感染症として発症した場合、重篤な反応がでる事があるのかについては、明らかになっていない部分が多いですが、予防のポイントとしては、うがいや手洗い等の一般的な感染症予防に努め、手足のケガをした際は放置せずに傷口をよく洗い消毒したり、ガーゼは毎回キレイなモノに取り換えるなどの対策が病気の予防には有効です。
まとめ、正しく怖がりしっかり予防
ネットニュースを見ていると「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」については、致死率30%が強調され、ネットユーザーの恐怖を煽る表現が多くなっています。一方で病気を引き起こすA群溶血性レンサ球菌が私たちの体に普通に存在する常在菌である事や、重症化する時は、何らかの原因で細菌が脂肪や筋肉の中に入り込んで、ごくまれに「軟部組織感染症」の一種である「壊死性筋膜炎」を引き起こして起きる事などは記されていません。病気を軽く見てはいけませんが、怖がらせればpvが増えると考えて、病気を煽る記事には注意して、正しく怖がりしっかり予防しましょう。
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