維新の三傑として、また、上野の銅像「西郷どん」として日本人に愛されている西郷隆盛。そんな西郷は、膨大な量の手紙を残し、多くは保管されていましたが、中には行方不明になった書簡も存在するそうです。そんな中、昭和初期に紛失して以来、所在が不明だった西郷の書簡が100年近くぶりに再発見されました。
昭和2年の「大西郷全集」に記されて後、紛失
今回、再発見された西郷さんの書簡は、昭和2年に刊行された「大西郷全集」第2巻に写真図版付きで最初に紹介され一級史料として広く知られていました。しかし、その後、原本の所在が不明になり、百年が経過しようとしていた2023年9月、滋賀県大津市の男性が県に寄託した文化財5件の中に西郷の手紙が含まれていた事が判明。鑑定の結果、原本だと特定しました。滋賀県によりますと、見つかった「西郷隆盛自筆書簡」は、長さ4メートル75センチという西郷さんの書簡の中では最長級だそうです。
遣米使節の大久保に送られた手紙
今回の西郷隆盛自筆書簡は、明治5年、アメリカやヨーロッパ視察旅行に出ていた大久保利通に向けて出されたものです。書簡には日本国内の状況や島津家の内情などを詳しく書いていて、留守政府の首班であった西郷が、大久保に国内情勢を細かくに知らせようとしていた様子が見て取れます。
写真嫌いの一文も
また、追伸にあたる部分では、以前に大久保から受け取ったポートレートを醜体(みっともない)と揶揄うなど「写真嫌い」で有名な西郷を象徴する一文もあります。そして、この書簡が、確かに西郷隆盛のものである事を示す弟、西郷従道の鑑定書も発見されました。この書簡には、オフィシャルで生真面目な西郷と、親しい大久保に向けて冗談半分の砕けた内容の書簡を出すプライベートな西郷の二つの側面が窺えます。今回再発見された西郷隆盛自筆書簡は、今年5月に滋賀県公文書館等で展示される予定だそうです。
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