アメリカ大統領選の行方を睨み、ウクライナ戦争の停戦を求める動きが各地で出てきています。但し、ロシア軍をウクライナ四州から撤退させないままの停戦は、ロシアを利するだけだという事は覚えておく必要があります。そもそもプーチンはウクライナをロシアに組み込むのではなく、ウクライナを消滅させる事が最終的な狙いだからです。
プーチン大統領の中にウクライナ民族は存在しない
プーチン大統領は、そもそも主権国家ウクライナを認めていません。彼は、ウクライナ人が主権国家を標榜したためにロシアの安全が損なわれ、我々が起源とするルーシ民族の一体性が失われたと本気で信じています。プーチンはウクライナという国は存在せず、ロシアとウクライナはルーシ民族として一体だと主張しているのです。プーチンが政権を握り続ける限り、彼はウクライナの解体とウクライナ人のロシア人化を続けるでしょうし、現時点でロシアが併合したウクライナ領土ではロシア人としての教育が開始されています。
ソビエトの過ちを修正
また、プーチンは2021年に発表した論文で、ソビエト建国の父たちの誤りを指摘しています。ソビエトは、民族別共和制を採用し、一つの州ごとに基幹民族を定めました。その方針の中でウクライナ・ソビエト社会主義共和国が建国されたのですが、それにより、ウクライナ人はロシア人とは別民族である事をソビエトが認めた事になりました。これを根拠にウクライナ国内では、共産主義体制に反しない範囲で独自の文化政策や教育がおこなわれました。プーチンはソビエト建国の父たちの民族共和制は誤りであり、そのせいで「ありもしない」ウクライナ民族が誕生したと批判しています。またソビエトは憲法で連邦離脱の自由を明記しました。結果、ソビエト連邦の崩壊後、ウクライナはソビエト連邦を離脱して独立してしまったとプーチンは批判しています。
プーチンはウクライナを地上から消すまで戦う
プーチン大統領のウクライナ侵略は単純な領土的野心や安全保障上の危機などではなく、彼個人の狂信的信念、すなわち、存在しないウクライナ民族を抹殺しロシアと一つのルーシ民族に立ち返るという根深いイデオロギーに支えられています。ウクライナがどれだけ妥協しようと、プーチンは地上から主権国家ウクライナが消えるまで戦争を止めないでしょう。国際社会は、この点を忘れてはいけません。プーチンは領土的打算ではなく、宗教とも言える狂信的信念からウクライナを消そうとしているのです。
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