三国志には正史には登場しませんが演義では有名という人物がいます。関羽のお供として有名な周倉もそんな一人です。
しかし、周倉の特徴と言えば、他に類例がない被っている珍奇な帽子でしょう。そのせいで三国無双8ではラテン系にされている周倉、では、あの帽子のような兜は一体何という名前なのでしょうか?
周倉の帽子は涼帽
周倉のあのツバのついた帽子は歴史的には涼帽と呼ばれています。ツバのついたタイプやツバのかわりにふさふさしたファーがついている時もあります。いずれも漢族ではなく北方異民族の出で立ちであり、周倉の出身地とされる涼州のイメージに合わせて設定されている様子ですね。
検索で涼帽を探してみると、満州族の陣笠みたいな帽子も涼帽のようで、かなりデザインは幅広く存在するようです。その為か、掛け軸として関羽の供になっている周倉の帽子には、ただの布から鉄の兜まで様々なバリエーションが存在しています。
兜になっているときは?
逆に周倉の帽子が兜になっている時があります。あれは、笠形盔(兜)と言い、古く南宋時代まで遡る兜のようです。もう少し後の明の時代になると、鉢の部分とツバが分離するようになりますが、日本にも戦国時代に入ってきて、唐人笠形兜として登場してきます。
天下人、徳川家康が被っていた兜にも同じものがあるようです。
三国志演義は明代の成立ですから、架空キャラの周倉は当時の異民族で漢民族の脅威だった蒙古や女真族の兜や帽子をモデルにしてデザインされたのでしょうね。
周倉の帽子に引きずられる
特徴的な帽子の存在もあり、三国志演義でも地味な活躍ながら周倉は、横山三国志では、布か皮っぽい四角形のツバを持つ帽子をかぶって登場しコーエー三國志では、そのものズバリな笠形兜を被った人物として登場します。もはや、ここまで来てしまうと周倉というキャラは、あの帽子で識別されていると言っても過言ではないでしょう。
帽子のお陰で三国無双8で登場
(画像引用元:三國無双8)
そんな周倉、三国無双ではずーっとモブキャラ扱いでしたが、とうとう三国無双8では、主役キャラとして初登場を果たします。
さらには、その特徴的な帽子はソンブレロのように変化していて、ラテン系陽気な兄ちゃんキャラクターに変化していました。もし、あの帽子が無ければ、周倉の出番はもっと遅れたかも知れないのでまさに帽子サマサマと言えるのかも知れません。
水滸伝の林冲も笠形兜
コーエー三國志でも特徴的な周倉の兜、しかし、実はコーエーのゲームではあと一人被っている人物がいます。それは、コーエーの水滸伝の登場人物の豹子頭林冲です。
どうして、水滸伝の林冲と三国志の周倉が同じ笠形兜を被っているのか?確かな事は分かりませんが、水滸伝も三国志演義も成立年代が明代でありキャラクターに流通性があったのかも知れません。
また、水滸伝は年代的には北宋の末で、南宋時代に存在した、笠形兜を被っていても違和感がないという事もあるでしょう。中国の歴史ドラマにおける林冲は、兜ではなくてツバの広い涼帽らしきものを被っています。
三国志ライターkawausoの独り言
三国志演義を通して、変な帽子の人としてキャラ立ちしている周倉、ですが、中国においては、そのイメージは当てはまらないようです。
というのも、中国においての周倉は神である関羽のお供として神格化され、涼帽も笠形兜も被っておらず、元帥帽や通天帽のような宝石と、白いポンポンを散りばめた派手な冠を被るようになっているからです。すでに人間ではないので、涼帽や笠形兜を被る必要がなくなって同時に、私達に馴染みのある周倉ではなくなっているのですね。
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