今回は鈴木三樹三郎について取り上げます。鈴木三樹三郎はほとんど知られていない人物で、これまでの大河ドラマでもほとんど取り上げられることはありませんでした。女性向けの恋愛シミュレーションゲーム『薄桜鬼~新選組奇譚~』において鈴木三樹三郎が登場します。このシミュレーションをきっかけに鈴木三樹三郎について取り上げます。
鈴木三樹三郎とは?
鈴木三樹三郎は1837年に常陸国(現在の茨城県)の志筑藩の藩士の次男として生まれました。実兄には新選組の隊員・伊東甲子太郎がいます。新選組九番隊組長となり、鈴木三樹三郎については名前を何回も変えていています。
寺内増右衛門の養子となったとき寺内多聞と名乗り、素行不良で離縁されると三木荒次郎と名乗ります。1864年、新選組隊士に応募しました。このころ名前を三木三郎と名乗ります。翌年には新選組の九番隊組長となりました。実兄の伊東甲子太郎が新選組によって暗殺されると袂を分かち、御陵衛士となりました。
御陵衛士とは孝明天皇の墓を守る組織で、高台寺を屯所としていたことから高台寺党と呼ばれています。戊辰戦争では新政府軍に加わります。戊辰戦争後、警察官になっています。明治時代になると鈴木忠良と名前を変えています。1919年に病気のため死亡しました。
実は剣術が下手!
ほとんどの読者が、新選組といえば剣術の達人が集まっているという印象を受けると思います。しかし、鈴木三樹三郎は剣術が下手でした。兄の伊東甲子太郎の影響で新選組九番隊の組長をしていましたが、明治以降の新選組の隊士の中で生き残っていたにもかかわらず、目立たない人物です。
なぜ鈴木三樹三郎は目立たない存在なのでしょうか。要因として剣術が下手だったことや九番隊の隊士を統率することができなかったことが挙げられます。新選組の二番隊組長だった永倉新八から剣術の指導を受けていたといわれています。セガの開発したゲーム『龍が如く』で鈴木三樹三郎は登場します。
ホームページのキャラクターの説明によれば、非常に好戦的な性格で、金に貪欲な隊士という設定になっています。剣術については剣の腕は確かだという設定になっており、永倉新八から剣術の指導を受けていたという説と異なります。九番隊の組長となりますが、隊長として適正には大いに疑問の残る男となっているため、この点については一致するようです。
鈴木三樹三郎の刀
鈴木三樹三郎の刀は鬼神丸国重と備前長船です。鬼神丸国重は江戸時代の摂津国の刀工で、俗名長兵衛といいます。鬼神丸国重と検索すると、新撰組の隊士・斉藤一としてヒットし、鈴木三樹三郎の刀というよりも斉藤一のものという解説が多いのが特徴として挙げられます。鬼神丸国重については鈴木三樹三郎の刀は斉藤一が使っていたものと同じであると考えられます。備前長船は鎌倉時代長船長光が刀工として台頭するようになってから刀工として一門が有名になっています。
幕末ライターオフィス樋口の独り言
今回は新選組の九番隊の組長・鈴木三樹三郎について取り上げました。鈴木三樹三郎について、新撰組隊士の中で明治時代以降も生き残っていた数少ない人物ですが、知名度が低くほとんど注目されていません。注目されていない要因として、剣術が下手だったことや素行不良などで九番隊の組長として隊士を統率することができていなかったことが挙げられます。
女性向けの恋愛シミュレーションゲーム『薄桜鬼~新選組奇譚~』において、鈴木三樹三郎が登場することから今後注目される可能性があります。また、さまざまなテレビゲームでも新選組九番隊組長として鈴木三樹三郎が登場しています。今後、鈴木三樹三郎に注目することで新選組の新しい研究成果が出ることが期待されます。
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