黄巾の乱以前から、宦官と外戚の争いは、どちらかが優勢、片や劣性と
何度も繰り返すために、非常に混乱しやすいです。
しかし、この二勢力の間で起こったいさかいの中で、最もわけがわからないのは、
何進と何皇后の関係ではないでしょうか。
何進が袁紹と共に十常侍を廃そうとしたところ、何皇后はそれを止めるのです。
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何皇后は外戚勢力であるはず?
劉弁の実母である何皇后は、どこからどう見ても、外戚勢力です。
国母になるためには手段を選びません。
霊帝の寵愛が深い邪魔な王美人を殺した過去もあるくらいです。
外戚勢力のナンバーワンといっても過言ではないでしょう。
しかし、十常侍のわいろによって、ころりと宦官の意見に耳を傾け、
兄である何進をたしなめてしまう。
普通に考えれば、おかしいです。
ここは兄と一緒になって、徹底的に宦官と劉協をつぶしておくべきところです。
そうとうスゴイわいろをもらって、目がくらんでしまったのでしょうか。
何皇后の立場は宦官より?
金銭を積まれて目がくらんだのだとしたら、
何皇后はかなりおつむが残念な人です。しかしそんなわけはないと断言できます。
なぜなら何皇后は、肉屋の娘から皇后に上りつめた人です。
これは生半可な努力では達成できないことと言えるからです。
頭脳を駆使し、うまく人脈を使い、必死でこの地位を手に入れたに違いありません。
目先の欲望に飛びつくような人ではないのです。
何皇后の住む後宮という場所は、宦官の城です。
彼女が高い地位を手に入れるためには、宦官の協力が不可欠です。
宦官にわいろを贈り、皇帝と自分を取り持つ太いパイプ役となってもらうよう
働きかけ、ようやく皇帝の寵愛を得ることができるのです。
何皇后と宦官の間には、長い間に培われた深いつながりがあるということです。
つまり何皇后は、何進の妹という外戚の立場でありながらも、
もともとは宦官勢力下に含まれると言えるのではないでしょうか。