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執筆者:黒田廉

狐偃(こえん)とはどんな人?晋の文公を覇者の地位までのし上げた宿臣

この記事の所要時間: 432




 

晋の文公は国を脱出して後、各国を回り数十年の辛い月日を乗り越えます。

そしてその辛い日々を乗り越えて晋の君主として返り咲き、

天下の覇者としてその名をとどろかせます。

この時晋の文公を最初から最後まで支えた忠臣がおりました。

その名を狐偃(こえん)と言います。




父の慧眼によって重耳に仕える

 

狐偃(こえん)の父である狐突(ことつ)は狄(てき)の出身の人で、

彼は晋の武公(ぶこう)に仕えます。

武公が亡くなると献公(けんこう)が跡を継ぎます。

狐突は献公の息子達の一人に狄出身の母親から生まれた重耳(ちょうじ)に目をつけ、

息子である狐偃と狐毛(こもう)の兄弟を重耳に仕えさせます。

この父の慧眼により二人の兄弟は大きく出世することになるのですが、

まだまだ先の話です。



驪姫の乱

photo credit: Memento Mori via photopin (license)

photo credit: Memento Mori via photopin (license)

 

晋の献公は一人の異民族の娘に一目ぼれして、彼を後宮に入れます。

この娘の名を驪姫(りき)と言います。

彼女は自らが生んだ息子に晋の国を継がせるため、

他の側室が生んだ男子(申生『しんせい』や重耳)を殺害しようと計画を立てます。

重耳は狐偃や狐毛などから「国を出たほうが安全です。」と忠告されます。

彼は狐偃らの忠告を聞き入れ、晋の国を出ます。

しかし重耳の兄であった申生は晋の国に残ることを決めます。

兄は国に残った事で驪姫に殺害されてしまいます。

その後驪姫は自らの息子を晋公として就任させますが、

晋国内の有力者であった里克(りこく)らによって討伐されてしまいます。

こうして驪姫の乱が鎮圧されますが、重耳は晋へ帰ることはしませんでした。

 

苦難の日々

 

重耳は食料などを大量にもって晋の国を脱出したわけではないので、

すぐに食物が底をつき始めます。

狐偃や狐毛、趙衰(ちょうし)らは必死に主の為に食料をかき集めてきますが、

それでも足りない状況が幾日も続いていました。

このような状態の中、一行は衛(えい)の国を通ります。

この時重耳は沿道にいる「農民達に食料をいただけないでしょうか。」と

懇願します。

すると農民達はこのみすぼらしい一向に土を与え、ゲラゲラと笑い転げます。

重耳は農民のこの嫌がらせにブチ切れ、農民を殺害しようとします。

すると狐偃は重耳を抑え「わが主よ。農民が土を差し出してきたのですよ。

これは喜ぶべきです」と述べます。

重耳は「バカなことを言うな。」と狐偃に大声を出します。

すると狐偃は重耳に「農民が土をくれたという事はいずれこの地はわれらの物に

なるという事です。非常にいいことではありませんか。」と喜びを伝えます。

この狐偃の言葉に納得した重耳は、怒りを収めてその場を離れます。

しかし食料は手に入らず、辛い日々を送っていくことに変わりはありませんでした。

 

覇者・桓公から大いにもてなされる

photo credit: Blue flower 1 via photopin (license)

photo credit: Blue flower 1 via photopin (license)

 

こうして辛い旅を続けている重耳一行は、斉の国に立ち寄ります。

この国の君主である中華の覇者・桓公は重耳一行を大いにもてなします。

斉の桓公は重耳に「もし私が亡くなってもあなたが斉の大臣になってくれれば、

この国も安泰じゃ」と述べます。

重耳は大いに気をよくして、配下達に「おれはこのままこの地で、

大臣になるのもいいかもな。」とこぼします。

すると狐偃は大いに怒り「われらは殿が晋の君主となって、

覇者になることを夢見てついてきている。

ここで斉の桓公の武将となるためではない」と述べます。

重耳は狐偃のこの言葉に耳を貸さず、一人浮かれておりました。

 

耳重を勝手に斉の国から連れ出す

photo credit: Hydrangea via photopin (license)

photo credit: Hydrangea via photopin (license)

 

狐偃は狐毛や趙衰などの群臣と図り、

重耳に大量の酒を飲ませてよって眠ったところを見計らって斉の国から連れ出します。

重耳は目を覚ますと自分が止まっていた宿舎じゃなくびっくりします。

そして狐偃に「ここはどこだ。なぜ宿舎ではないのだ。」と厳しく問いただします。

すると狐偃は「斉の国にはもう戻りません。」と告げます。

重耳は狐偃のこの言葉に激怒し、剣を引き抜いて殺害しようとします。

しかし狐偃は一切動じず「私が憎ければ殺しなさい。

私はあなたを晋の国に返し、覇者へ押し上げる為付き従っているのです。」と

自分の決意を述べます。

重耳はこの言葉を聞いてなお怒りが収まらず狐偃に

「帰ることができなかったらどうするんだ」と怒鳴り散らします。

すると彼は「その時は死ぬだけです。」ときっぱりと意見を述べます。

この意見を聞いた重耳は「皆も同じか」と配下に尋ねます。

すると配下も全員が頷きます。

重耳は彼らの決意が固いことを知ると斉への未練を断ち切り、

以後研鑽を重ねていきます。

 

春秋五覇の家臣となる

 

重耳は斉を出た後も、色々な国々を回って放浪の旅を続けておりました。

そして楚の国に入った時、秦王から「われらが援助するため、

晋へ帰って即位しないか。」と相談を持ち掛けられます。

重耳や狐偃らは協議を重ね秦王の言を信じ、秦へ向かいます。

秦王は耳重がやってくると大いに歓待し、秦王は軍勢を重耳に預け晋へ向かわせます。

晋の軍勢は重耳の軍勢を迎撃にするため出陣してきますが、

百戦錬磨の秦軍と諸将の指揮の巧さによって晋軍は敗北。

こうして重耳は数十年の月日を費やし、ついに晋の国権を握り、

数年後には中華を代表する覇者の地位に就くことになります。

この晋の文公が覇者となった事で彼の名は歴史に刻み込まれることになります。

また狐偃や狐毛、趙衰らも貴顕の位につくことになります。

 

三国志ライター黒田廉の独り言

黒田廉

 

狐偃は忠義の臣もしくは絆で結ばれた君臣関係といっても過言ではないでしょう。

いくら晋の元公子であったとはいえ、これだけの苦難を味わうならとっくに逃亡して、

他の国で仕官すればもう少しまともな生活を送ることができたと思います。

しかし彼は重耳の元から逃亡しようとする気は一切なく、

晋の国に帰るまでしっかりと付き従っていきます。

三国志でいうと劉備三兄弟みたいな関係の先駆者的な感じになるのではないでしょうか。

「今回の春秋戦国時代のお話はこれでおしまいにゃ。

次回もはじさんでお会いしましょう。

それじゃあまたにゃ~」

 

関連記事:劉邦や劉備も手本にした人物 「重耳」 とは?

関連記事:これであなたも知ったかぶり!春秋時代をザックリ紹介!

 

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その後の日本史・中国史を学びました。
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張遼孟嘗君、張作霖など

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