【シミルボン】兵士達の心のオアシス、軍市とはどんなモノだったの?

2016年12月15日


 

シミルボン

 

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兵士 朝まで三国志

 

三国志では、何万人という兵士が、将軍に率いられて、

時には数年という長い期間、各地を転戦したりします。

もちろん、彼等も人間、ただ配給の食糧を得るだけで、何年もの間

牛馬のような行軍は出来ないのであり、必ず息抜きを必要としました。

そこで誕生したのが軍市(ぐんし)という存在です。

 

今回は、三国志の話の表では、知る事が出来ない、

兵士達の心のオアシス、軍市について紹介します。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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将軍が開いた兵士専用の娯楽件市場 軍市

潘璋

 

記録によると、軍市の存在は、紀元前3世紀の戦国末期に見られると言います。

「商君書」墾令(こんれい)偏によると、当時の軍市の様子がこのようにあります。

 

「軍市を興す時には、女を入れてはいけない、

そして、しかるべき商人を指名して商いをさせて、

兵士が必要な食料品を手に入るようにしてやり、

同時に娯楽などを提供すべし

 

軍市を置いて、食料品を売らないと、兵士は不満が溜まり

盗みなどが横行するようになるので注意が必要だ。

また、軍市に置いては、身元の確かな人間だけを入れ、

不良や博徒、遊侠の徒などは入れてはいけない。

 

そうなると、軍の規律が乱れ、その乱れは辺りの

町にも広がり、農民まで感化されて怠惰になるだろう

軍市の決まりが守られれば、農民は悪風に染まらず、

荒れ地は立派な農地になるのだ」

 

参考文献:商君書 中国流統治の学

著者: 守屋 洋/出版社: 徳間書店

 

大騒ぎをする兵士の中で命がけの稼ぎをする商人

潘璋

 

商君書では、軍市では、女を置かない事、決められた商人以外は、

軍市に出入りさせない事が決められています。

そういう事が守られないと周辺の町の農民まで悪風に染まると

書いていますから、軍市の中が、どんな様子か想像がつきます。

 

おそらく、兵士は普段の牛馬のような扱いのストレスを爆発させ

喰い散らかし、飲み散らかしたのでしょうし、あちこちで、

喧嘩も発生し刃物沙汰も生じたのでしょう。

 

なにしろ、市というのは常設ではありませんから、

軍市が立つ時に、ここぞとばかりに憂さを晴らそうとする

兵士の行動は、刹那的で殺伐としていても仕方ありません。

 

そんな中で商売をする商人や大道芸人は、文字通り、命の危険を

感じながら、体を張って商売していたのだと思われます。

書かれてはいませんが、軍市の商品は通常より割高で、

そうであればこそ、危険な軍市で商いをする人もいたのでしょう。

 

また、女を置かない事というのは、娼婦の事であり、

性病の蔓延や、喧嘩、或いはこちらの情報が娼婦を通し、

敵に漏れる事を防ぐという意味合いがあったようです。

 

参考文献:画像が語る中国の古代

著者: 渡部 出版社: 平凡社

 

将軍の儲けになった軍市の税金

 

この軍市は将軍の命令で置く事が認められ、その監督は、

軍市官という人間が当たりましたが、この軍市官の任命も

将軍の人事権の中で出来ました。

 

軍市で商売をした商人は一定の軍市之租(ぐんしのそ)という

税金を将軍に支払っていたようです。

 

この軍市之租は、国に納める性質のものではなく、

将軍の個人的なポケットマネーになりました。

一般の市では、売上の2%を納めていたそうですから、

全体で100万銭が売上げられれば税は2万銭、

何度か市を開けば、結構な金額になります。

 

将軍は、こうして、ポケットマネーを集めていき、

時折、士気を高める為に、兵士に酒食を振る舞ったり、

褒美を取らせる時の費用として使っていたようです。

 

辺境を守っていた将軍と言えば、三国志の董卓(とうたく)がいますが、

彼は部下には気前が良い将軍だったようで、或いは、軍市で徴収した租を

惜しげなく、部下に使っていたという事かも知れません。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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