陶淵明は変態さん?閑情賦のエロ妄想が止まらない!


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陶淵明

 

高節の隠逸詩人として名高い陶淵明(とうえんめい)

彼の詩作は後世に多大な影響を与え、人々に称賛を受けて止まないのですが、

彼は熱烈なファンをも一瞬凍り付かせる問題作を創り出しています。

 

その詩の名は「閑情賦(かんじょうふ)」。

情を防ぎとめる長うたと訳せるその詩は、

陶淵明の熱烈なファンとして有名な昭明太子(しょうめいたいし)蕭統(しょうとう)にも

白璧の微瑕(はくへきのびか)」つまり玉に瑕であると酷評されている作品なのです。

 

なぜ昭明太子がプンスカしているかというと、

その詩の内容が「エロいから」なのだそう。

どれくらいエロいのかちょっと気になっちゃいますよね。

ということで、「閑情賦」をあっさりと鑑賞してみたいと思います。

 

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意外と純愛風な出だし

意外と純愛風な出だし

 

陶淵明は「閑情賦」の序において代々情欲を抑えることを主題とした詩が詠まれているから、

自分も暇だし詠んでみたと言っています。

劣情にかられぬように戒めるというけっこう真面目な雰囲気。

ここからどうエロくなっていくのでしょうか?

 

まずは詩の冒頭を引用してみましょう。

 

()れ何ぞ壞逸(かいいつ)の令姿の、

独り曠世(こうせい)以て群に秀ずるや。

傾城(けいせい)の艶色を表し、

有徳を伝聞に期せん。

 

あぁなんと極めて美しい姿のただ一人世に類まれで抜きんでていらっしゃることよ

城を傾けてしまいそうな艶やかなあなたの姿を表しその有徳をひろく世に伝えたい。」

訳するとこんなところでしょうか。

 

美しい女性の姿を詩にすると言っているのですね。

その後は宣言通り女性の美しさを称賛する言葉が続きます。

谷間に咲く(らん)に劣らない香り、琴を奏でるしなやかな指、

美しい流し目、身のこなしの麗しさ…。

できれば近づきたいけれど、

礼を冒してしまうのではないかと思うと近づけず、

かといって正式に結婚を申し込もうと思ったら

その準備の間に他の人に奪われてしまわないか心配で…。

 

あれ?

全然エロくないですよね?

むしろ純愛っぽいですよね?

拍子抜けした方も多いと思いますが、この後が問題なのです…。

 


「願わくは」の妄想が止まらない!

「願わくは」の妄想が止まらない!

 

思いを募らせる陶淵明。

ここから彼のハイパー妄想タイムのはじまりです。

 

願わくは衣に在りては(えり)と為り

華首の余芳を承けん

 

訳すとこんな感じですね。

「なれるものなら衣の襟になって、あなたの華やかな首の芳しい香りを嗅いでいたい。」

いきなり変態っぽくなってきましたよ?

しかし陶淵明はこの気持ちを頑張って消そうとします。

 

悲しいかな羅襟の宵に離るれば秋夜の未だ()きざるを怨む

 

「しかし悲しいことに夜になると衣は脱ぎ捨てられるから

秋の長い夜がなかなか明けないことがうらめしい。」

おぉ、ちょっと落ち着いたか?

と思いますが、陶淵明の妄想は止まりません。

 

なれるものなら裳の帯になってあなたのたおやかでか細い腰に巻かれたい…。

なれるものなら髪油になって真っ黒な髪をなで肩の上にとかされたい…。

なれるものなら眉墨になってあなたの目の動きにしたがって静かに上がり下がりしたい…。

なれるものならむしろになって秋の間中あなたのか弱い体をやすらげたい…。

なれるものなら靴になってあなたの素足にはりついて一緒にめぐり歩きたい…。

なれるものなら昼は影になっていつもあなたの身に寄り添っていたい…。

なれるものなら夜は灯火になってあなたの美しい姿を照らしたい…。

なれるものなら団扇になってあなたのしなやかな手に握られて涼しい風を送りたい…。

なれるものなら桐になってあなたの膝の上の琴になりたい…。

 

 

うーん、大分変態っぽいですね。

滅茶苦茶エロいってわけではないところが

余計にエロさを(かも)し出しているような気がしなくもありません。

でも、陶淵明はこれらの妄想を全て打ち消していますから、

一応題の通り感情を押しとどめているようです。

 

北伐の真実に迫る

北伐  


 

あぁ、やっぱり純愛だったのね

 

気になるこの詩の終わりですが、願いが叶えられることはないから、

林の中に隠れて心をしずめようとします。

しかし、歩いているうちにバッタリ女性と出会えたら、

夢であなたについて行けたら、遠くから聞こえる笛の音はあなたのもので

自分に思慕の情を寄せてくれていたらと心を惑わせまくる陶淵明。

 

万慮を(うちあ)けてもって誠を存し、遥情を八遐(はっか)に憩わしめん

「すべての雑念を打ち明けて自分の真心を示し、高望みを八方に雲散霧消させようと思う。」

と言って詩を締めくくっています。

 

少女漫画に登場するわき上がる思いに右往左往する

ピュアな恋をしている青年のようではありませんか?

ちなみにこのとき陶淵明は30歳前後と言われています。


  

 

 

三国志ライターchopsticksの独り言

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中盤における妄想披露にはちょっとびっくりさせられますが、

全体としては思いを寄せる女性への純情が感じられて美しい詩なのではないかと思います。

皆さんも「願わくは~」という部分を使って妄想を繰り広げてみてはいかがでしょうか。

 

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