【三国夢幻演義 龍の少年】深いい解説その6「変遷」

2018年12月24日


 

こんにちは。光月ユリシです。拙著「三国夢幻演義 龍の少年」に関心を持ってくださり、ありがとうございます。孔明の家庭事情から始まった物語も、三国志の有名人たちが次々と登場してきて、いよいよ大きく動き始めました。読者の皆様の興味も徐々に高まってきたのではないかと期待して・・・

 

今回は物語に登場したキー・アイテム、「神器」について解説します。

 

四種の神器とはどんなもの?

 

作中でも説明していますが、「神器」は仙人の世界で作られたという霊宝です。

四種類あって、それぞれ東西南北の四方と対応しており、霊力で大地に加護をもたら

す力が秘められています。

 

四千年の歴史があるという風水の思想では、青龍は東方を守護する神獣です。

他の神獣は玄武、白虎、朱雀。それぞれ北方、西方、南方を守護します。色で表すと、

青龍は青、玄武は黒、白虎は白、朱雀は赤です。

それに当てはめて、各神器にはその色を象徴する宝石がはめ込まれています。

 

この四神獣の思想は日本にも伝わって、今も様々なところで目にすることがあります。

奈良のキトラ古墳に描かれた四神図が有名ですよね。皆さんもどこかで見聞したこと

があるのではないかと思います。

 

「三国夢幻演義」の最大の特徴は政争や戦争の背後に存在する「神器」や「仙珠」が

起こす幻想と史実とのシンクロにあります。「仙珠」に関しては、「龍の少年」では登

場することはありませんが、今後の作品で登場します。お楽しみに。

 

陰陽五行説とは何ぞや?

 

万物は「木火土金水」という五つの要素により成り立つとする「五行思想」は古代

朝・夏の創始者である禹が発案したものだと言われています。後に斉の陰陽家・鄒衍

(すうえん)により陰陽思想と五行思想が統合されて観念的な陰陽五行説として完成

します。

 

五行説は「五行相生説」と「五行相克説」の二つが存在します。

相生説は木は燃えて火を生み、灰は土となり、土は金属を作ったり、水を湧き出し、

水は木を生かすといった考え方です。

 

相克説は土から木が生えるので、木は土に勝ち、土は水を吸い取るので、土は水に勝

ち、水は火を消すので、水は火に勝ち、火は金属を溶かすので、火は金に勝ち、金属

は木を枯らすので、金は木に勝つといった考え方です。

 

ものすごく観念的な思想で、理解するのは難しいと思われるかもしれませんが、意外

と納得できませんか? 五行思想は漢代や三国時代において大変重要な思想で、物語

に深みを出すためにも五行思想を避けて通ることはできません。作中の様々な場面で、

この五行説が関連してきます。

 

王朝と色の関係

 

後漢は火徳、「赤」を正色としました。実はこの後漢時代は都の洛陽の字を「雒陽」と

改名していたそうです。小説の中では「洛陽」で通していますが。原因は「洛」のさ

んずいが水を表すから、火徳の後漢にとって、「洛」の字は不吉だと考えられたからで

した。こんな文字一つにも五行思想が関係していたのです。

 

後漢打倒を目指して蜂起した黄巾の乱。「三国志」の序章として描かれることが多いこ

の大反乱ですが、黄土を耕す農民である彼らが黄色の頭巾をトレードマークにしたの

は、もちろん五行相生説の思想からでしょう。当時の社会全体に五行説が浸透してい

たことが分かります。

 

後漢から禅譲を受けて建国された魏は、武力で後漢を倒したのではないので、五行相克説を採りませんでした。

そして、相生説の考えから、黄色をシンボルカラーと決めました。元号は「黄初」です。曹丕の時代はずっと「黄初」が使われています。

 

【独り言】

 

小説を書くにあたって、古代中国の文献やら資料やらを読み漁っていますが、中国の

古代思想って本当にすごいなぁと改めて感心します。やっぱり、人間の思考が歴史を

動かしているんですね~。五行説とか、よく考えつきますよ。天才か。

 

孔子の「論語」にしろ、「孫子の兵法」にしろ、現代日本で読まれているのですから、

凄い。大体、二千年前の出来事や言論が記録されて残っていること自体が凄い。

それによって、私たちは遥か彼方に過ぎ去ってしまった時代に思いを馳せることがで

きるのですから。記録って大事。本の力って凄いと思います。

 

こんな小説でも、記録として残って、読者の皆さんの心に残って、時代を越えて残っ

てくれたらいいな~と思う今日この頃。

 

書くのは大変ですが、何だか力が湧いてきました。思いを形に。今日も頑張ろうかな。

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