三国志を見ているととても良く見かける「皇帝」「王」という尊称。
皇帝であれば献帝や文帝、後々で言うなら武帝など。王で有名どころと言えば、曹操が封じられた「魏王」や、八「王」の乱などが有名でしょうか。
だけど「皇帝と王って何?王様ってことじゃないの?王より皇帝の方が偉いの?」なんて思ったことはありませんか? 今回はこの皇帝と王について、筆者なりにまとめてみました。
「八王」
まずはちょっと、八王の乱についておさらいです。
八王の乱とは晋王朝崩壊のきっかけとも言える内乱ですが、名前のように八人の王がそのまま争った訳ではなく、八人の王がどんどん脱落していく内乱、と思った方が分かりやすいでしょう。
その八王のメインメンバーは以下の通り。
・汝南王司馬亮
・楚王司馬瑋
・趙王司馬倫
・斉王司馬冏
・長沙王司馬乂
・成都王司馬穎
・河間王司馬顒
・東海王司馬越
司馬ばっかりで見辛いですが、一族ばかりなので当然と言えば当然なのですね。
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「王に封じる」
さてこんなに司馬一族の王が出てくる理由の一つに、司馬炎の存在があります。司馬炎は皇帝となった翌月、早速やったことがあります。それは司馬一族から27人を汝南、成都、楚などの国々の王に就かせました。
これは司馬一族の権力を高め、集中させるためです。さてこの王に就かせる、もしくは「王に封じる」とも言う言葉、何だか良く分からないと思いませんか?これについてちょっとかみ砕きましょう。
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爵位授与
王に封じる、というのは分かりやすく言うと爵位を授けるということです。つまり王というのはこの場合、貴族のような存在であり、中国の各地を治める存在です。この時に王の名はその土地の名から付けられます。そして王というのは皇帝より授かる役職であり、この場合王は皇帝よりも下の役職となります。
皇帝という存在
王は皇帝によってその土地を任せられる存在、皇帝によって任命される存在であると説明しました。では皇帝とはいったどんな存在なのか?
この中国史における皇帝はかなり特殊な存在であり、王が皇帝から命じられる存在ならば、皇帝は「天から命じられた存在」です。つまり天命を受け、国と人々を任せられた存在であり、大変ありがたい存在なのです。
なので、下手に皇帝を名乗ると天に背くものとして周囲に敵対視されます。分かりやすい例を言うと袁術がそうですね。とは言っても、実は最初から皇帝という存在がいた訳ではありません。
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