諸葛孔明
蜀の丞相・諸葛亮が書いたと言われてきた『将苑』という兵法書があります。現代では、後人が諸葛亮に仮託して書いた偽書であるとされています。偽書であるとすれば、きっと諸葛亮のことをよく知っている諸葛亮マニアが書いたのでしょう。その本の中で将軍のありかたについて書かれた箇所があります。そこには、どうも熟年離婚を未然に防ぐヒントがありそうな気がします!
さっそく読んでみる
まずは将軍のありかたについて書かれた部分を読んでみましょう。下に書いたものは私のざっくりとした訳です。原文は中国版ウィキペディアのような「百度百科」で「将苑」を調べると載っています(2018月11月9日現在。参照URL https://baike.baidu.com/item/将苑 )。
将軍としてのありかた。
水をくんでこないうちから「のどが渇いた」と言ってはならない。
料理が終わらないうちから「腹が減った」と言ってはならない。
火おこしが終わらないうちから「寒い」と言ってはならない。
天幕を張らないうちから「疲れた」と言ってはならない。
夏でも扇を使わず、雨が降っても傘をささず、兵たちと同じようにすごす。
将軍としてのありかた、なんて言うからどんな大層なことを言うのかと思ったら、ささいなことばかりですね……?
ささいなことは大切
水くみ、料理、火おこし、テント張り。こういう作業を将軍が自らやるはずはなく、兵たちが将軍のためにやってあげていることです。兵隊さんだって自分の身の回りのこともやらなくちゃいけないし、あれこれ忙しいはずです。それでも将軍に水を飲んでもらわないといけないからせっせと水くみをします。
やっている途中に催促がましく「のどが渇いた」と言われたら、どういう気持ちになるでしょうか。「はぁ? 今やってますけど? 自分のこと後回しにしてやってますけど?? もう! 将軍ったら下々がやっていることに無理解で自分の都合ばっかり言ってくるんだから!」
ささいなことは大切です。将と兵は動員中は毎日毎日昼も夜もずーっと一緒にいるんですから。小さながっかりでも日々積み重なっていけば、兵たちは心の底から将軍のことを蔑むようになるのではないでしょうか。そうなれば、混戦になった時に、兵隊さんたちは将軍一人でやってくれとばかりにすたこらさっさと逃げかねません。
熟年離婚を防ぐコツ
毎日一緒に過ごすからこそ、ささいなことを大切にしなければならない。これは夫婦についても言えることではないでしょうか。ここからはごく個人的な体験談になるのですが、私は既婚者でして、結婚した当初は夫婦双方フルタイムで働いていました。私のほうが職場が遠かったので朝は私のほうが早く出て、帰りはだいたい同じくらいだったのですが、夫が全く家事をしないので驚きました。(やりたくないんだろうと思って放っておきましたが)
このため私は会社の帰りにスーパーに寄って食材を買い、家についたら急いで夕食を作るということをしていたのですが、もしそのとき夫が「お腹減った。ご飯まだ?」と言ったとしたら、ドッカーン……とはならない。この程度ではドッカーンとはならないです。ささいなことですから。でも内心 “なんてやつだ!”と思ったことと思います。
そういうことは一度や二度ならいいですが、度重なれば、夫はこちらの状況に全く無関心で自分の都合しか考えない人であるから一緒にいる甲斐がないと考えるようになるだろうと思います。(幸いなことに私の夫は『将苑』の将軍のありかたを学ばずして体得しているため、今のところその兆候はありません)相手のしていることを手伝わないのであれば、催促をしないように気をつけておくと、熟年離婚の芽を一つ摘めるのではないでしょうか。
三国志ライター よかミカンの独り言
夫婦は将軍と兵卒という間柄ではないので、なんでも一緒にやっていいのですが、一人がやっていることを横から手伝うのはけっこう難しいですよね。
それで相手にお任せする場合には、催促や口出しはせず感謝をすればいいのだろうと思います。相手が一つのことをやっている間に自分は他の作業をするというのもよろしいかと思います。夫婦だけでなく、親子関係や、チームを組んで何かする時にも使える知恵かもしれませんね。ぜひ『将苑』を日常に活用してみて下さい!
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