舌戦に敗れて憤死しています。
その舌戦のせりふを読むと、王朗の理論はハチャメチャ、
諸葛亮の反論は論とも言えない罵詈雑言です。
あんまりにもヘボ試合すぎて泣きたいです。
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王朗が諸葛亮とやりあうことになった経緯
三国志演義の中で王朗が諸葛亮の餌食になったのは、蜀の第一次北伐中のことでした。
蜀軍の快進撃におそれをなした魏の皇帝・曹叡が重鎮の曹真に蜀軍撃退を命じ、
王朗は曹真の軍師として従軍しました。
時に76歳。自分で自分のことを「老臣」と称しているおじいちゃんでした。
さて長安を出発し、いよいよ明日には蜀軍との会戦だという時に、
王朗は曹真にこう申し出ます。
「両軍が陣を構えたら、私が陣頭に出て弁舌を以て諸葛亮を降伏させましょう。
敵軍は戦わずして退くでしょう」
ああ、これは返り討ちにあうフラグだ……。こうして王朗は諸葛亮と舌戦をすることになりました。
王朗のハチャメチャ理論
舌戦当日、王朗は馬に乗って陣頭にあらわれます。
一方、諸葛亮は四輪車の上に悠然と腰掛けています。先攻は王朗です。
天下に盗賊がはびこり群雄が割拠し、漢の社稷が危うくなった時、
我らが太祖武皇帝が天下を平定され、天下の人望が集まった。
権勢によって天下をとったのではなく、天命によるものだ。
おおぅ、さっそく失言。漢の社稷が危うくなったらそれを助けるのがヒーローの仕事なのに、
太祖武皇帝は社稷が危うくなったのに乗じて自分が天下を取ってしまっています。
「社稷」なんて言わずに天下が乱れていたことだけ言えばヒーローだったのに。
というのは別の記事で書きましたので続きを……↓
我らが皇室は天に応じ人々の望みに合致し、
古の帝王・堯が舜に位を譲った麗しいやりかたにそって君臨されることとなったのである。
あなたは優秀な人なのだから、聖人・伊尹(夏王朝を滅ぼした殷王朝の功臣)や
聖人・周公(殷王朝を滅ぼした周王朝の功臣)のようになるべきなのに、
どうして頑迷に天のことわりに逆らっているのか。
これもハチャメチャですね。
堯から舜への禅譲(位を譲ること)にならったすばらしい王朝交替だったと
言っておきながら、“キミも伊尹や周公になれ”と言うのはおかしいです。
伊尹も周公も放伐(武力による王朝交替)で建った王朝の功臣ですからね。
“魏は禅譲の体裁をとってるけどホントは放伐だったのさ”と言ってしまっているようなものです。
王朗先生のお説、ひどすぎます。
天に順うものは栄え、天に逆らう者は滅ぶという。
蛍が名月の光にかなうものか。投降して地位を全うされよ。
さすれば国安らかに民楽しむ。なんとすばらしいことではないか。
“君らみたいなちっちゃい国はどうせ負けるからさっさと国を捨ててこっちに来て
甘い汁を吸いなよ、お互い楽ちんでいいじゃん”と誘っております。
波動の時代を生きた先人たちから学ぶ『ビジネス三国志』
諸葛亮の反論はくちぎたない悪口
諸葛亮は四輪車の上でゲラゲラと笑ったあと、反論を始めます。
漢王朝が衰え凶作が続き天下が乱れ、董卓が跋扈し、
李傕・郭汜らが天子をおびやかし、禽獣、犬狼、奴隷のごとき者たちが政治を行い、
社稷は乱れ、民は塗炭の苦しみを味わうこととなった。
こりゃまたえげつないですね。
魏の創始者・曹操のことを、董卓・リカクシが天下を乱したおかげで権力を握るようになった
禽獣、犬狼、奴隷のごとき者だと言っております。
そして曹操らのせいで漢の社稷が乱れて民は塗炭の苦しみを味わうことになったのだ、と。
ちょっと亮さん、ちゃんと正史三国志を読んで勉強したほうがいいですよ!
曹操の治世で世の中はよくなってるんですよ!
貴様は漢の孝廉に推挙され、漢室を助けるべきなのに、逆賊に荷担して
帝位簒奪に同調するとは、天も許すまじ!
私がここにいるのは天意が漢(蜀)にあるからである。私は詔を奉じて賊を伐つのである。
貴様のようなへつらい者は身を隠し首をちぢめて衣食の心配だけをしておれ。
おめおめと陣頭へしゃしゃりでて妄りに天命を称する資格はない。
白髪の下郎、しろひげの老賊め。
もうすぐあの世へ行くんだろうが、二十四帝に会わす顔があるのやら。
とっとと失せろ老賊、他の逆臣を勝負によこせ!
アイヤ~、口汚いですねぇ。この悪口雑言に王朗はムムムとなって、落馬して死亡。
ちなみに横山光輝三国志にはこのシーンはありません。
三国志ライター よかミカンの独り言
王朗の理論は文人のせりふとは思えないほどひどいですが、諸葛亮の反論もお粗末です。
自分らは漢を継いでる正統な立場なんじゃ貴様らは逆賊じゃ、という以外の材料がないので、
あとはひたすら汚い言葉でののしっているだけです。
これが一国の司徒と丞相との舌戦だと思うとガッカリです。
三国志演義よ、ここもうちょっとなんとかならんかったんかい。トホホ……。
※舌戦のせりふは一部要約しております。ご興味のある方は三国志演義第93回をご覧下さい。
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