「漢」といえば皆さんはまず何を思い浮かべるでしょうか?
漢王朝のことだったり漢字や漢民族のことだったりと人によって様々でしょう。
ところで、「漢」は「おとこ」と読まれることがありますよね。どうやら益荒男のことを特に「漢」と称するようですが、「漢」に対応する女性を表す言葉はあるのでしょうか?
インターネットで「漢」と「女」というキーワードを調べてみると「漢女」という言葉がヒットします。漢王朝の女性、もしくは漢民族の女性のことを指すのかと思いきやそこにはめくるめく不思議な世界が広がっていました…。
そもそも「漢」とは?
不思議な世界の扉を開く前にまず益荒男のことを指す言葉である「漢」についておさらいしておきましょう。「漢」という漢字を調べてみると、主に漢水のことや漢王朝、漢民族のことが出てきますが、一般男子を指す漢字であるという説明を見つけることができます。
一般男子というのは漢民族の男子のことだろうと考える人もいると思いますが、どうやらそのルーツは古代の北方に住んでいた少数民族を「漢子」と呼んでいたことにあるようです。
その他、五胡の称される異民族たちが漢民族の男子を「漢児」と呼んで罵ったことに由来するとの説もあります。
いずれにせよ「漢」という漢字は昔は蔑称として用いられることがあったようですが、おそらく漢民族が素晴らしい文化を築いて民族としての自信を積み上げていったことによって「漢」は益荒男を表す漢字であるという認識が強まっていったのでしょう。
現代中国語でも素敵な男性を表す際に「好漢」という言葉が使われますし、日本語にも「熱血漢」や「正義漢」という言葉がありますよね。「痴漢」や「暴漢」なんていうのもありますが…。
漢女は漢の女子バージョン
さて、そろそろ謎に包まれた「漢女」について解き明かしていきましょう。どうやら漢女というのは「漢(おとこ)」の女バージョンだそう。
???
これだけではちょっとちんぷんかんぷんなので詳しく補足説明すると「女性の身体を持ちながら漢(おとこ)のような心意気を持つ女性のこと」を漢女と呼ぶそうです。
ちなみに、「漢女」は「おとめ」と訓じます。
「それは男勝りな女性のことなのでは?」
と突っ込みたくなる人もいると思いますが、どうやらそんな生易しいものではない様子。
男勝りは男に勝とうと頑張っている感があり、所詮は女性の性質の1つに過ぎません。漢女は絶対的に素の状態で「漢(おとこ)の心」を備えているのです。
「漢の心」というのは「弱気をたすけ強きを挫く」といういわば仁の心。この仁の心を持ち合わせる女性こそが「漢女」と称されるにふさわしい女性なのです。
漢女は萌え属性?
魂が「漢」である女性を「漢女」と呼ぶことがあるということはご理解いただけたと思います。しかし、一体どこの界隈で「漢女」という言葉が使われているのかをご存知ではないという人は多いでしょう。
実は、「漢女」は萌え属性の1つとしてアニメや漫画が大好きな人々の間でつくられた言葉なのです。
思わず「姐さん!」と呼びたくなるそんな萌える(?)女性を表すのが「漢女」なのだそうな。当然どんな辞典をあさってみても彼らが語る「漢女」なんてものはどこにも見当たりません。しかし、いつの日か「漢女」が広辞苑あたりに載る日も来るかもしれませんね。
昔は渡来人の女性を「漢女(あやめ)」と呼んでいた
真面目な話をすれば「漢女」という言葉が載っている辞書はチラホラ存在します。ただ、掲載されている「漢女」の読みは「あやめ」です。辞書によれば「古代中国大陸からやってきた渡来人のうち、機織りや裁縫に従事した女性」のことを「漢女(あやめ)」と呼んでいたのだそうです。ちなみに美しい花を咲かせる植物である菖蒲(あやめ)はこの「漢女」の姿に見立てて命名されたと言われています。
三国志ライターchopsticksの独り言
漢字というものは意味を持つ文字ですから造語を作るのにはうってつけですね。今日もどこかで新しい言葉が誕生しているのかなと思うとワクワクするような気が遠くなるような不思議な心地がします。
関連記事:漢民族の衣装といえばチャイナ服?いえいえ、漢服というものがあるのです
関連記事:漢王朝成立の歴史を美麗に描く!おすすめの映画3本をご紹介