キングダム611話は、ヤングジャンプが合併号の為に8月22日までお預けです。
そこで、キングダムのネタバレに行き詰まったkawausoは、始皇帝関連の雑学に逃げる事にしました。
今回は、残酷な独裁者と呼ばれ続けた始皇帝が、当時としては意外に人道的な皇帝だったかも知れない。
その証拠について検証してみます。
※キングダムネタバレ予想は611話が発売されてから再開します。
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この記事の目次
キングダム最新611話合併号SPネタバレ「極めて計画的な始皇帝陵」
8000体にもなる等身大の兵馬俑が陪葬されている事で知られ、20世紀最大の発見と言われる秦の始皇帝陵。
ここでは中国全土から述べ人数70万人が労働者として集められ、中には囚人も含まれていました。
人権なんて、欠片もない時代、さぞかし過酷で残忍な作業が繰り返されていたようなイメージがあるかと思います。
しかし、この始皇帝陵は、始皇帝が即位したと同時に建設が進み、36年間に渡り造営が続きました。
もし、始皇帝が暴君であり、考えなしに根こそぎ人夫をかき集めていたなら、
たちまち陵周辺の環境は悪化し吐き出されたゴミによって、工事の遂行が困難になっていたでしょう。
そうならなかったのは、大勢の人夫の配置、役割分担、宿舎、墓地等がちゃんと計画されていたからです。
キングダム最新611話合併号SPネタバレ「墓碑がつけられた労働者の墓」
36年間にも及ぶ過酷な重労働の中では、当然、病死したり、事故死したりする人夫も出現します。
人夫の中には囚人もいたわけですから、その埋葬もいい加減だったように感じるかも知れません。
それこそ、長平の戦いの40万人生き埋めのように囚人に巨大な穴を掘らせ何百人を一斉に放り込んで埋めてしまうような
嫌なイメージを思い浮かべてしまう方もいるでしょう。
しかし、実際にはそうではなかったようです。
始皇帝陵の郊外からは労働者の集団墓地が発見されています。
そして、驚くべき事に、それらの遺体の一部には人夫の身分や出身地を記した陶製のタイルがありました。
これは今でいう墓碑銘であり、囚人といえどきちんと区画整理した墓地に埋葬していた事実が分かります。
始皇帝といえば、自分の欲望のために人民を搾取しゴミ以下のように扱ったイメージですが、
囚人であってもキチンと埋葬した事実を見ても、残酷酷薄な暴君の先入観は崩れてきますね。
キングダム最新611話合併号SPネタバレ「拷問や生き埋めの形跡は無い?」
始皇帝陵を造営した人夫は調査により、北方の遊牧民は皆無、漢民族が少しで大部分は南方から連れてこられた少数民族であったようです。
ここから、始皇帝が秦の人民を始皇帝陵の造営に使っていない事が分かります。
恐らくは始皇帝陵の労働が過酷であり不満が高まる事を懸念したのでしょう。
調査では南方系のミトコンドリアを持つ121体の骨が調べられ、年齢は15歳から45歳の男性、平均年齢は24歳という働き盛りの年齢でした。
死因は過酷な労働か伝染病の可能性があるとされました。
ただ、121体の骨からは、拷問の形跡や生き埋めにしたような様子は見られなかったそうです。
私達のイメージでは、人夫は厳しく役人に監督され鞭で叩かれ働かされ、それが原因で衰弱死した人もいたように考えますが
実際にはそうではなかったのかも知れません。
そして、伝染病による死亡が事実とすれば、過酷な労働だけが死因ではないかも知れません。
もちろん、それでも始皇帝陵の造営は強制労働であり、今とは比較にならない困難な作業だったでしょうが、
当時としては、非人道的な働き方はさせていなかったのではないでしょうか?
読者の皆さんは、この点についてどう思いますか?
キングダム最新611話合併号SP「漢の時代の徒刑囚の墓」
秦軍は戦争では、残忍無比である事で有名でした。
しかし、だからと言って、同様に戦争以外でも残忍であったとは言えません。
そもそも当時の人々は、鬼神の存在を信じ死者の報復を恐れていたわけですから、恨みを買うような行動は極力避けていたのです。
それを裏付けるような古代の共同墓地が中華人民共和国河南省西部、後漢の洛陽城に近い、偃師西大郊村から出土しました。
こちらは、キングダムの時代から100年後の世界の墓地ですが、整然と区画整理された長方形の墓穴が並び、
全ての墓は粗末ながら木の柩が安置され、煉瓦製の墓碑が添えられていました。
そして、この共同墓地はなんと囚人の共同墓地なのです。
当時の人権感覚からすれば、一番蔑ろにされそうな囚人の墓でもこれだけ手厚く埋葬しているなら、一般の人夫の扱いは、
そこまで残忍なものではなかったように思えます。
キングダム最新611話合併号SPネタバレ「兵馬俑のクオリティ」
もう一つ、秦の時代の始皇帝陵の人夫が現代の私達が思う程非人道的な働き方をしていなかったと推測する理由は、兵馬俑の高いクオリティです。
よく知られている通り、兵馬俑の8000体の兵士や馬は、細部まで細かい表現が施されています。
このような高いクオリティが強制された働き方の中で実現できるものかどうかに疑問があるのです。
何よりkawauso自身が表現者ですから、嫌々でやった仕事で高いクオリティが実現できない事くらいよく知っています。
他人に強いられるだけで内的な表現意欲がないと、どんな匠であろうと、本当によい作品は出来ません。
そのクオリティが上からの恐怖心だけで実現できるのか?というと、kawausoは疑問なのです。
職人達は、一般の人夫と待遇が違う可能性もありますが、そうだとしても、意欲を持って働いていた人夫は一定数居たのではないかと思います。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
現在の常識から考えれば、遥か南方から少数民族を墓の造営に強制的に動員する自体、非人道的な行為ですから、
それが始皇帝の悪行に数えられないという事はないでしょう。
しかし、2200年前の当時、始皇帝どころではないほどに人民を搾取した王は、七国の中にはいたでしょうし、
墓の造営は、何も始皇帝一人だけが行ったわけではありません。
あくまでも当時の視点に立つと、始皇帝陵は整備されていて、人夫の共同墓地もあり、
囚人と言えども残酷無比な使い捨てはされていなかったと言えると思います。
参考文献:中国古代の生活史 林巳奈夫
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