文選にも収録された陳琳の「心を打つ」名文

2020年7月14日


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陳琳の「心を打つ」名文(1P目)

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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為袁紹檄豫州文の概要

悪の正義バットマン風 曹操

 

ではこの為袁紹檄豫州文、簡単に説明しておきましょう。大まかにいうと「曹操は悪人です」「袁紹様は正義のために立ち上がりました」「みんな袁紹様に味方しようね!」ということなのですが、この曹操の部分に「曹操の生い立ち」が書かれているのです。

曹操の悪口を書簡に書く陳琳

 

曹操は宦官の孫であり、父親は養子として夏候氏から貰われてきました。当時、異姓から養子を貰うというのはかなり常識外れだったということもあり、その事についても陳琳は非難しているのですね。

 



袁紹から曹操へ

曹操にコテンパにされる袁紹

 

ですが結果として袁紹は曹操に敗れます。その後、陳琳は曹操の元に引き出されて「自分だけならまだしも、どうしてお前は祖父や父まで罵倒したのか」と言われますが、陳琳ははっきりと「引き絞った弓矢は放たないわけにいきません」と答えました。

 

曹操

 

不思議なことに陳琳は許され、その後、建安七子(けんあんしちし)のメンバーとして活躍することとなります。そして後に呉に対するプロパガンダ文書「檄呉将校部曲文」を書き、これも文選に収録されています。因みにこっちでは曹操をべた褒めです……まあプロパガンダってそういうものですね、はい。

 

為袁紹檄豫州文のあれこれ

ブチ切れる曹操

 

さて為袁紹檄豫州文、実はあんまり日本では有名な内容とは言えません。と言うのもこれについて、筆者は文化の違いだと考えています。なぜなら曹操がどうして宦官(かんがん)の孫と言われて怒るのか、ちょっと想像が付かないという人も多いでしょうから。

 

張譲(宦官)

 

日本には宦官文化というものがなく、それに対する蔑視や侮蔑が今一つ伝わりにくい……例に出すと「サノバビッチ」という単語は日本ではなじみがないですが、英語圏で使うと酷い侮蔑言葉の上に人間としての品質を疑われることすらあるそうです。

 

苛ついている曹操

 

ただ日本ではなじみがないから、言われてもピンとこない……曹操の一件もこれに近いのではないかと思うのですよね。だからこの件に関してあまり認識が薄いのではないか……と、今回筆者はふと考えたのでした。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

今回は陳琳の話から、ちょっと気になる曹操の出生について良くある罵倒、についても考えてみました。こういう馴染みがない罵倒などはピンとこないこともありますが、それが文化や時代の違いと思うと興味深くもあります。気に留まらない些細なことかもしれませんが、こう言った小さなポイントにももっと意識を向けていきたいですね。

 

参考文献:魏書王粲伝 後漢書何進伝

 

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曹操孟徳

 

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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