NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」最終話では腹の底が読めない男、三浦義村が義時へのコンプレックスをぶちまけるシーンがありました。義村は「見栄えも剣の腕も頭の良さも俺の方が上、なのに執権はお前で俺はただの御家人、不公平だよな」と不満をぶちまけます。しかし義村の言い分は当たっていません。義村が二番手なのは自らそうなるように選んでいるからなのです。
いつでも二番手だった義村
義村は変転極まりないコウモリ野郎でしたが自らが叛く事はなく、叛こうとする人間をけしかけたり、協力する素振りを見せているだけでした。のえの為に毒薬を調達したのも、承久の乱で弟を通して後鳥羽上皇と連絡を取っていた時も自分が矢面に立っていません。そのお陰で義村は土壇場で寝返る形で毎回助かりますが、代わりに謀反が成功したとしても、義村は常に2番手にしかなり得ないのです。
時政も義時も泰時もリスクを取り泥をかぶった
一方で義時は、個々の能力では確かに義村に劣りますが、常に自分が前に出てリスクを取りました。決して逃げられない言い逃れが出来ない立場で事態を収拾したのです。義時の父、時政も頼朝が挙兵した時、山木兼隆の屋敷に一番手で攻め込みましたし、義時の子の泰時も僅か18騎の味方で後鳥羽上皇軍に立ち向かうために率先して兵を率います。
北条氏はリスクを背負う覚悟を持っていたから執権となり、生き残る事を最優先して、リスクを取らない義村は権力の頂点には立てなかったのです。
賢い人が陥りやすい二番手の罠
もちろん義村にも言い分はあるでしょう。俺は先々まで見通しが立たないと謀反なんて危ない事はしない、ほかの連中はそれが出来ないで見通しを誤ったのだと…しかし100%安全な謀反など存在しません。現実は動いていて複雑に変化します。どこかで見極めリスクを背負って踏ん切らないといけないのです。しかし、頭が切れすぎる義村は見通しが立ちすぎるゆえに、それが出来なかったのです。
▼こちらもどうぞ!