筆者が20代だった1990年代、中国といえば、天安門広場を多くの自転車が走るイメージでした。すでに軍事大国であり核ミサイルを保有していた中国ですが、経済大国であるイメージはなかったのです。鄧小平による路線転換で改革開放に舵を切り、外国資本を呼び込んで経済成長を続ける中国ですが、そもそもどうして中国は経済成長できたのでしょうか?
経済成長を実現できた要素
鄧小平が主導した改革開放により外国資本を導入した中国ですが、外国資本さえ入れば、経済成長できるというものではありません。その頃中国では、共産党による農地改革が実施され、大地主が減少して自作農が誕生していました。また、ある程度教育が普及して識字率が高くまた意外かも知れませんが、礼儀正しい国民性もあり、治安が良かったのです。これらは外国企業が工場を誘致して、現地で従業員を雇い、事業を継続する上でプラスに働きました。
これに加え、輸出入関税を免除し、所得税を3年間据え置くとした14カ所の経済特区もあり、安い人件費で質が良い製品を造れるとして外国資本が進出し、経済成長のエンジンとなったのです。
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国家が経済を統制する力技
通常、資本主義国では所有権が完全に守られているので法律を破らない限り、国家が企業の経済活動に直接関与できません。そのため、好景気が過剰になってインフレになったり、株価暴落で大恐慌が起きるというような経済の浮き沈みが繰り返されました。しかし、社会主義の中国の場合、民間企業と言えど、中国共産党の意向を無視すると、簡単に営業停止に追い込まれる事になります。そのため、中国は国家の意志で経済を強引にコントロールして、決定的な破綻が起きないように出来るのです。
中国では国家介入で企業の過度な競争が起きず好景気の過熱による激しいインフレや株価暴落による大恐慌も抑えられます。そのため、企業がバタバタ倒れるような事がなく、順調に経済発展が継続しました。
アキレス腱もある
そんな資本主義と社会主義のよいとこどりの中国ですがアキレス腱もあります。それは人口の8%の少数民族の住む土地が領土の65%を占めるという事情です。つまり、これらの少数民族の領地が独立すると、中国の国土は大幅に削減され経済発展にブレーキがかかってしまうのです。台湾も事情は同じで、独立されると中国の排他的経済水域が大幅に縮小し、漁業権や海洋資源の採掘権が失われてしまうのです。中国が国内の独立運動に過敏なのは、単純な領土欲だけではないんですね。
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