超高齢化に加え、コロナ禍における過剰な人流抑制もあり、日本の出生率と婚姻数の減少が続いています。2022年の出生数は77.1万人で戦後最少だった2021年の81.2万人を大きく下回り、一方で2021年の死亡者数は143万9809人であり、差し引きで60万人も日本人が減少した事になります。これは島根県の人口に匹敵し、日本は超高齢化社会を迎えると同時に、多死社会を迎えた事になります。その中で、日本で自治体の財源になっているのが残骨灰でした。
参照:火葬後の残骨灰を売却すると1億円超!? 東西で異なる拾骨事情が浮き彫りにした、減りゆく死との接点
残骨灰の希少金属の売却で1億円の利益
残骨灰とは遺体を火葬した後に残る焼け残った骨の事です。2022年秋、京都市が残骨灰から見つかる金やプラチナなどの有価金属を抽出・精錬して売却し1億円を超える売却益が出てニュースになりました。しかし、実際には京都市以外でも、政令指定都市を含め多くの自治体で残骨灰の売却は以前からおこなわれているようです。
残骨灰を巡り浮かび上がる東西の意識差
残骨灰というと、東日本在住の方は違和感を持つのではないでしょうか?「火葬した後の骨は全部拾って骨壺に入っているから、残骨ないんじゃないの?」筆者は沖縄出身ですが、沖縄でも火葬後の遺骨は全てキレイに骨壺に納めるので残骨灰があるという事に違和感がありました。しかし、西日本では全ての骨を拾うわけではない部分拾骨がメインなので、火葬場に置いてきた残骨には思い入れがないようです。実際、京都市の残骨灰売却のニュースを聞いた反応でも、西日本の出身者に拒否感がないのに対し、東日本の出身者には拒否感を持つ人が多くいました。
多死社会を迎えて
出生率や婚姻数が減少していけば必然的に死亡者数は増えていきます。その中で火葬や、骨拾いに直面する機会も多くなるでしょう。その中で部分骨拾い、全骨拾いの風習の違いに直面する事もあるかも知れません。特に火葬場を運営する自治体においては遺族の意向をちゃんと汲まないと、思わぬトラブルが起きる可能性もあり注意が必要です。
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