蒸気機関の乗り物が廃れた理由は?

2023年2月4日


鉄道(蒸気機関)に乗るkawausoさん

 

20世紀初頭まで、世界中を繋いでいたのは蒸気機関を動力とする乗り物でした。しかし、現在、蒸気機関は工場の動力としては活用されているものの、人や物を運ぶ輸送機関としての使命はほぼ終えています。それはどうしてなんでしょうか?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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蒸気圧が高まるまで時間がかかる

自動車(クラシック)に乗るkawausoさん

 

蒸気機関が乗り物として廃れた理由としては蒸気圧が高まるのに時間が掛かる事があります。ガソリンエンジンならキーをまわしてすぐに起動できるものが、蒸気だと圧力が高まるまでに時間がかかるのです。しかし、自動車には向かないとしても、豪華客船のような出航までに時間がかかる乗り物には、蒸気機関が残っていても良さそうですよね?どうして残っていないのでしょうか?

 

 

一番の原因はボイラーの重さ

軍艦(明治時代)

 

 

蒸気機関の乗り物が廃れた最大の要因は、蒸気機関のエンジンであるボイラーの重さでした。蒸気機関は熱した水蒸気を動力にしてタービンを回転させるので水蒸気を漏らさず、同時に桁外れの蒸気圧に耐えるボイラー室が必要です。しかし激しい蒸気圧に耐えるには、頑強で重いボイラー室が必要になり、ボイラー室の重さが蒸気機関の馬力を下げてしまうのです。

 

日本海海戦で活躍した帝国海軍の旗船三笠は排水量1万トンを超える蒸気軍艦ですが、ボイラーが極めて巨大であり、さながら走るボイラー室のようでした。こうして蒸気船が大型化すると、蒸気機関よりも小さな内燃機関で動かせる重油が動力の中心となり、蒸気機関は乗り物からは完全撤退していきました。

 

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ボイラー室を軽く軽量化できれば蒸気の時代がくるかも

飛行機(プロペラ)に乗るkawausoさん

 

 

現在は自重を気にしなくていい、工場機械などで使用されている蒸気機関ですが、逆に言うと軽くて場所を取らない頑丈なボイラー室が技術革新で造れるようになれば、蒸気機関が重量のジレンマから解放され、再び、乗り物として活躍できる時が来るかもしれません。そんな架空のスチームパンクの時代を描いたアニメに大友克洋監督の映画「スチームボーイ」があります。機会があればご覧になって下さい。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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