オランダ・ハーグにあるICC=国際刑事裁判所が、ウクライナ情勢をめぐりロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちを移送した事が国際法上の戦争犯罪にあたるとしてロシアのプーチン大統領などに逮捕状を出した事を明らかにしました。
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ウクライナで子ども達のロシアへの移動がおこなわれている
ウクライナで行われたとみられる戦争犯罪などについて捜査してきた国際刑事裁判所は、3月17日、ロシアのプーチン大統領と子どもの権利などを担当するマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表について戦争犯罪の疑いで逮捕状を出しました。裁判所はロシアが占領したウクライナ地域から多くの子どもたちがロシア側に移送されているとし、これが国際法上の戦争犯罪にあたり、プーチン大統領に責任があると信ずるに足る十分な証拠があるとしています。
ウクライナ側の発表では16000人
ウクライナ司法当局によると軍事進攻が始まって以降、東部ドネツク州、ルハンシク州、ハルキウ州それに南部ヘルソン州であわせて16000人以上の子どもがロシアによって連れ去られた事が確認され、ウクライナ軍が奪い返した子どもは300人に過ぎないそうです。ウクライナ当局は引き続き調査を続けています。
ロシアの戦争犯罪を断罪する第一歩
ロシアは、国際刑事裁判所の決定に激しく反発し、子どもを連れ去ったのではなく保護していると逆切れしていますが、ウクライナ人の子どもを親から引き離してロシア国内に連れ去る事は、どんな言い逃れをしようと拉致であり誘拐と呼ぶべきであり保護ではありません。ロシアは子どもの誘拐ばかりではなく、民間人虐殺、レイプ、窃盗、あらゆる戦争犯罪を引き起こしていて、今後も戦争を継続した場合、国際刑事裁判所からの逮捕状はさらに増える可能性もあります。
プーチン大統領がただちに逮捕される事はないが…
国際刑事裁判所は日本を含む123の国と地域が参加しているものの、ロシアやアメリカ、中国など戦争犯罪の常連国は管轄権を認めていないのでプーチン大統領が逮捕される可能性は極めて低いようです。しかし、ロシアという国連安保理の常任理事国の現職大統領がこういった犯罪で逮捕状を請求され、正式に被疑者になることが国際社会に与える影響は大きく。これまでロシアに対し曖昧な対応をとってきた国々に一定のインパクトを与える事になりそうです。
侵略戦争を抑止するため戦争犯罪を許すな
今回の国際刑事裁判所のプーチン大統領に対する逮捕状について、強制力がなく無意味という声も散見されます。確かにロシア大統領として強大な権力を持つプーチン容疑者を逮捕できる公的機関はありません。しかし、たとえ誰であろうと侵略戦争を引き起こすような権力者は許さない、裁判に掛けられ報いを受けるべきだと世界中の国々とその国民が断固として考え、意思表示をするなら国際刑事裁判所の決定には世論の後押しという権威が加わりロシアが力に任せた戦争犯罪を躊躇する空気を作り出す事が出来るのです。世界平和のため、どんな国であろうと侵略戦争は許さないという立場から逮捕状を出した国際刑事裁判所の英断に拍手したいと思います。
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