皆さんは凍死についてどんなイメージをお持ちでしょうか?大半の人は、寒い地域で野外に居る時に起こると思い込んでいませんか?しかし、それは本当は大間違いで日本では1年間に1000人以上が低体温症で凍死していて、その数は熱中症による死者の1.5倍から2倍に昇るのです。
凍死は室内でも起こり得る
そもそも凍死が野外で起こるとは限りません。調査によれば低体温症になって病院に搬送される患者の70%は屋内で低体温症を発症しているからです。また、被害が多い世代は60歳以上の高齢者で、室温11度以下外気温5度以下の早朝に最も犠牲者が多いとされています。つまり、室内だから凍死しないなんてことはないのです。
WHOの基準を下回る寒い日本の家屋
WHO(世界保健機関)は住宅で、住人が健康を維持できる室温を18℃以上として推奨しています。この基準で考えると、冬場には室温11度以下が存在する日本家屋は寒すぎるのです。
別室暖房が日本家屋を寒くしている
日本は夏は蒸し暑く冬は寒い気候なので、家屋は意図的に隙間を作って通気をよくし、夏場を少しでも快適に過ごせるように進化してきました。そして、冬は厚着をして寒さを我慢しようと考えてきたわけですが、それこそが日本国内の凍死者を1000人以上にしていると言えるでしょう。また、日本では暖房も部分空調が多く、海外先進国のような全室暖房はあまり普及していません。高齢者が朝起きてから暖房を入れようと考えて寝ている間に低体温症にかかり、動けないままに亡くなってしまう事が、起こりやすくなっているのです。
寒さは厚着だけで解決できない!
最近は熱中症対策の広報は増えてきましたが、低体温症についての広報はあまり盛んではありません。特に高齢者は「これぐらいの寒さはなんでもない」とギリギリまで暖房をつけない我慢比べが好きな方も多いようです。しかし、高齢者の方の場合はご自身でも気づかない間に暑さだけではなく寒さを感知する機能も衰えていて、気が付いた時には自分で助けを呼ぶ事も出来ない重篤な低体温症になってしまう場合もあります。たかが寒さと侮らず、充分な防寒対策をしましょう。
▼こちらもどうぞ