2022年度の世界の大企業TOP50が発表されました。この中で日本の企業は幾つ入っているか皆さんご存知ですか?実はたった1社、48位のトヨタだけなのです。1989年には、バブルの影響もあるとはいえ、TOP5を独占していた日本の企業は、どうしてこうも没落してしまったのでしょうか?その理由はなんと!日本企業が大躍進したのと同じでした。
徹底して無駄を省き多品種化で世界を席巻した日本
1980年代、日本企業は世界を席巻しました。その最大の強みは無駄を省いた作業の効率化と製品の多品種化でした。例えばトヨタやホンダが新車を開発するまでに36か月しか掛からないのに対し、アメリカやヨーロッパでは60か月掛かっていました。無駄を徹底的に省いた日本型経営は、性能を上げてコストを下げる事に繋がり、合理化の取組が遅れたアメリカやヨーロッパ企業から顧客を奪っていったのです。
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効率化と多品種化が裏目に出る日本
しかし、世界を席巻した日本の生産方式は、2000年代に入ると目に見えて色あせていきました。それは日本企業があまりにも作業を合理化、効率化し、次々と新商品を開発した結果、商品の消費サイクルが短くなって価格がどんどん低下していくようになったからです。この悪循環により、日本企業は良い製品を生み出すのですが、利益が上がらず業界全体が縮小する事になっていきました。
戦略を持たない日本企業
既存の分野で利益が上がらないなら、顧客が求めているがまだビジネス化していないジャンルの商品を掘り起こせば、先行者として価格を自由に決定し価格下落のスパイラルから脱出する事が出来るかも知れません。しかし、日本企業は模倣は上手ですが、新しい価値を一から創り上げるのは大の苦手でした。また、日本の企業風土は良くも悪くも全会一致で横並びを好み、突飛で独創的な発想をする人間を嫌悪して排斥したり耳を貸さない特徴があります。このため、イノベーターが出にくく、これからどうやって利益を獲得していくか?という戦略がまるで描けないジリ貧状態になったのです。
これからは合理化と効率化ではなく価値の創出を
これからの世界では、80億人に達しようとする人類が次に何を求めているかをリサーチし、それを形にしてビジネスに結びつけなければ生き残れません。日本も横並び全会一致型の経営手法を改めてイノベーターが出やすい環境を整えなければ、再び世界のTOP企業に名乗りを上げるのは難しいでしょう。
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