東京タワーは、昭和33年12月23日に高さ333メートルの電波塔として完成しました。敗戦からわずか13年で、世界最高の電波塔を建設する技術は世界を驚かせました。しかし、大きな工事には事故が付きものです。東京タワーの建設中に死亡した人数は、いくつだったのでしょうか?調べてみました。
東京タワーの死亡事故は1件
東京タワーの建設は、昭和32年6月29日から昭和33年12月23日までの1年半で完成しました。完成予定日は決定していたので、工事は強行スケジュールで黒崎建設の鳶職400人が朝6時から夜6時までフル稼働し、休みなく働いていました。当時は、現在のようなハーネスもなく、命綱を着用せず、幅30センチの鉄骨の上を歩き回る危険な環境でした。当時は鉄骨を接続するリベットを高熱で熱して鉄のバケツに入れ、下の階から上に放り投げ上で作業員がやっとこでキャッチし、リベットが覚める前にハンマーで打ち付けるという危険な作業をしていたようです。しかし、この工事中に死亡したのは、強風で煽られて落下死した鳶職人1人だけでした。
昭和33年の計説現場での事故死は1846人
東京タワーの建設中にこのような悲しい死亡事故が起こりましたが、昭和33年に全国の建設現場全体で死亡した人数は1846人にも上りました。当時は、現在のような安全基準が存在せず、多くの作業員が危険な作業現場で命を落としていました。これを考えると、安全面に問題があったとはいえ、世界的な大工事で死亡事故が1人だけで済んだのは驚異的なことかもしれません。
東京スカイツリーでは死亡事故ゼロ
この教訓を生かし、日本の建設業界では安全性に配慮し、法整備も進んでいます。厚生労働省によると、令和3年度の労働災害による死亡者数は867人で、前年度よりも65人増加しましたが、昭和33年に比べると1000人近く少なくなっています。また、東京スカイツリーの建設では、死亡事故がゼロとなりました。
情報ソース:厚生労働省HP
▼こちらもどうぞ
日本が戦後の焼野原から 一気に経済大国にのし上がった隠れた理由は?前編