夏になると、どこからともなく飛んでくる蚊、嫌ですよね。血を吸われるだけならまだしも、吸血したあとに痒くなる、あれがムカつきます。しかし、あの蚊に刺された時の痒みは蚊の麻酔の効果だったようです。
どうして蚊に刺されても痛くないのか?
世の中には針に過敏な人っていますよね?筆者行きつけの針灸院でも、針がダメで極細の針でも痛いと飛び上がる人がいるそうです。でも、世の中に蚊に刺されて痛かったと言う人がいるでしょうか?筆者は寡聞にして一度も聞いた事はありません。実は蚊はただ皮膚を切り裂いて吸血するのではなく、同時に唾液から痛みを抑える成分を出していた事が実験で確認されました。
蚊の唾液に含まれるシアルロフィンが痛みセンサーを鈍らせる
実験は生理学研究所・生命創成探究センターの富永真琴教授と関西大学システム理工学部の青柳司教授、富山大学学術研究部の歌大介准教授らの研究グループにより実施されました。人間の感覚器官には、ワサビ受容体とカプサイシン受容体という痛みを発するセンサーがあります。研究チームは実験の結果、蚊の唾液の中に含まれるシアルロフィンという物質が、これらの痛みセンサーを抑制する事を確認したのです。蚊に刺されても痛くない理由は、このシアルロフィンの抑制効果だったのです。
唾液の成分が肥満細胞からヒスタミンを放出
また、蚊の唾液には人間の肥満細胞に働いて、鎮痛効果があるヒスタミンを出させる成分がある事も分かりました。このヒスタミンは鎮痛作用と共に痒みを発生させますから、蚊に刺されて痒いのは蚊のバイキンではなく、ヒスタミン物質が出るせいだったのです。こうしてみると、蚊も人間に気を使っているんだなとも思いますが、蚊は吸血によりウイルスや細菌を媒介させ、毎年数十万人の人命を奪う人類をもっとも殺している虫という事も忘れてはいけません。
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