2023年6月上旬から始まったウクライナの反転攻勢。しかし、ロシア軍の堅固な陣地によってその進展は妨げられ、現在に至るまで顕著な進捗は見受けられません。この事態に対して、ウクライナ軍の反転攻勢が遅すぎるとの批判が多く聞かれますが、実際のところ、ウクライナ軍の攻勢の遅れはアメリカが原因であるとする専門家も存在します。
制空権の欠如がウクライナの苦戦を招く
反転攻勢の成功には、陸上からの火力支援だけでなく、空からの航空機支援が不可欠です。しかし、ウクライナの空軍は充実しておらず、ロシアによって制空権を制圧されています。ウクライナは開戦当初からアメリカにF-16の供与を求めていましたが、アメリカはロシアとの関係を悪化させることを恐れ、この要請を拒否し続け、現在も供与が行われていません。もしバイデン政権が勇気を持ってF-16を提供していたならば、ウクライナは制空権を確保し、反転攻勢の進行が速まった可能性が高いでしょう。
兵站基地攻撃ができないジレンマ
さらに、ウクライナは開戦当初からアメリカに対地ミサイルATACMSの供与を求めていましたが、バイデン政権はこれにも慎重な姿勢を見せ、現在も供与が行われていません。ATACMSは射程300キロのミサイルであり、これが手に入れば、ウクライナ軍は敵陣地の背後にある兵站基地を攻撃しつつ作戦を進めることが可能となり、これまでの苦闘から解放された可能性があります。
それでもウクライナは成果を上げている
バイデン政権の消極的な姿勢にもかかわらず、ウクライナ軍は航空兵器や対地長距離ミサイルを持たない状況下で、歩兵と装甲車などの機動力を活かした抵抗作戦に転じています。この状況下で、世界でも最高水準のロシア軍と戦い続けています。ウクライナの反転攻勢の進行速度に疑問を抱く前に、アメリカは決断を下してF-16とATACMSを供与し、ウクライナ軍の奮闘を支援するべきではないでしょうか?
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