2023年8月14日、ロシアの通貨であるルーブルは1ドル=100ルーブル台に低下し、約1年5カ月ぶりの最低値となりました。この急落幅は、ウクライナ侵略の直後である2022年3月に記録した史上最低値である1ドル=120ルーブルに匹敵するものです。
2022年6月には1ドル=76ルーブルだった経緯
ロシアのウクライナ侵略とそれに続く西側諸国からの経済制裁により、戦闘開始直後には1ドル=120ルーブルにまで低下していましたが、その後は持ち直して、2022年6月には1ドル=76ルーブルに回復しました。しかしながら、2023年初め以来、ルーブルはドルに対して25%の価値を失い、ここ数週間での急落が続いています。ブルームバーグ通信によれば、この年初からのルーブルの25%の下落率は、新興国通貨の中では、トルコリラやアルゼンチンペソに次ぐ最低記録とのことです。
ロシア中央銀行と政府の対立
ルーブルの急落に関しては、政府高官とロシア中央銀行の見解が食い違っています。プーチン大統領の経済顧問であるマクシム・オレシキンは、最近のルーブルの下落とインフレの加速は、ロシア中央銀行の金融政策の緩和が原因だと非難しました。一方、ロシア中央銀行は、ルーブルの下落は外国との貿易の悪化に起因するものだと主張し、ルーブル相場を支えるために行っていた年外貨の購入を年末まで停止すると発表しました。ロシアは堅実な姿勢を保っていますが、長期間にわたる経済制裁とウクライナ侵略の影響は、ルーブルの価値を低下させています。
ルーブルの価値減少とエネルギー輸出
ルーブルの価値減少は、これまで天然ガスや原油の輸出に支えられてきた面もありました。しかし、この価値減少は、欧州諸国やアメリカがロシアとの取引を制限した経済制裁の影響を受けています。ただし、ロシアは欧州に代わり、アジア諸国や中国、インドなどにエネルギーを輸出し、外貨を得ています。需要の高まりも見受けられるため、ルーブルの下落が一段と進行するかどうかは未知数です。
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