ウクライナ侵略を進めるロシアの首都、モスクワで、ウクライナとの関与が疑われるドローン攻撃が日常茶飯事となっています。このドローン攻撃は単なる軍事作戦以上に、市民たちに戦争への関与を意識させ、不安と厭戦を煽る狙いがあるようですが、その効果はどの程度あるのでしょうか。
激化するドローン攻撃
ロシア政府の情報によれば、8月に入ってモスクワを標的としたドローン攻撃は少なくとも11回発生し、7月の4回からほぼ3倍に増加しました。特に、モスクワのビジネス街であるモスクワシティの高層ビル地域では、7月に続いて8月1日と23日にドローンが突入し、一部のビルに損害をもたらしました。この攻撃によって負傷者も出ているとの報告もあります。ロシア政府は防空システムがドローン攻撃を無力化しており、被害は攻撃を受けたドローンの残骸だけだと主張していますが、この説明は信用を得るには難しいものとなっています。ウクライナのサイバーセキュリティ関係者は、今年中にウクライナが最大で20万機のドローンを入手する計画を進めていると述べていて、今後もモスクワへのドローン攻撃はエスカレートする可能性が高いと言われています。
調査結果から浮かび上がる支持率
モスクワ市内へのドローン攻撃が続いたとしても、モスクワ市民の反戦感情が急速に高まるとは限りません。ロシアの世論調査によれば、現在でも7割以上の国民がウクライナに対する軍事行動を支持しているためです。また、ロシアは経済格差が拡大しており、多くの地方住民は日々の生計に追われ、ウクライナ戦争に対する関心は薄いとされています。実際、プーチン政権のプロパガンダが最も効果的に機能しているのは地方であり、モスクワへのドローン攻撃がロシア国内で反戦運動が高まる要因となるかどうかはまだ見通しのつかない部分です。
意識変革の兆しも
一方で、モスクワへのドローン攻撃が継続し、戦争が早く終結することを望む声が広がってもいます。多くのロシア人が、ウクライナ人の犠牲や痛みを考えることで、従来とは異なる戦争に対する認識を持つようになっているとの報告もあります。今年の9月にはロシアで統一地方選挙が行われる予定です。選挙はプーチン政権によって運営されていますが、その結果次第ではプーチン大統領もウクライナ侵略に関する方針を見直す可能性があるでしょう。
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