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ルソーとモンテスキューはどう違う?[大人の学び直し]

2023年10月17日


フランス革命

 

ルソーとモンテスキューは、18世紀のフランスの哲学者で、政治哲学や社会哲学において影響力のある思想家でした。2人ともフランス革命やアメリカ独立戦争に影響を与えましたが、2人の政治思想は、どこが同じでどこが違うのでしょうか?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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自然状態について

縄文人 縄文時代の狩り

 

モンテスキューは、政府が存在しない人間の自然状態を闘争が続く自己中心的な世界と考えていました。彼は人間の本能的な欲望を強調し、政府が権力を分散させ人間の欲望を適切に管理して、市民同士の闘争を阻止し、個人の自由を守るべきだと主張しました。逆にルソーは人間の自然状態を善良で平等なものと考え、そこに私有財産や階級が誕生した事で人間社会に奪い、奪われる闘争が生じたとします。両者は人間の自然状態について真逆のスタンスを取っています。

 

 

政府の形態

国会議事堂

 

モンテスキューは、政府の分立と権力の均衡を強調し、立法、行政、司法の三権分立を提案しました。これにより三権にお互いを監視させ、権力の濫用を防ごうと考えるもので、イギリスの立憲主義の影響を受けています。一方、ルソーは代議制による間接民主制ではなく、「一般意志」の原則に基づく直接民主制を支持、国民の合意に基づく共同体を理想としました。ルソーの考えでは一般意志の原則に基づき、市民の信任を得た共同体なら、必ずしも三権分立でなくてもよい事になります。このためルソーの思想は、社会主義体制のような議会を置かない独裁的政治体制をも認めている形です。

 

 

社会契約論について

農民達に踏みつけられる革命暦と落ち込む革命家

 

モンテスキューはルソーの社会的契約論を支持しましたが、直接民主制には否定的で人間の本能的な欲望を考慮し、政府による権力を分割した統治が必要だと主張しました。一方でルソーは、社会契約によって人々は自由と平等を守るために共同体を形成し、共同体政府が出す一般意志に従うべきだと考えました。

 

 

まとめ

オンライン授業の講師を務めるkawauso編集長

 

モンテスキューは政府も市民も完全には信用せず、政府や市民の暴走を阻止する三権分立を重視しましたが、ルソーは市民の一般意志を重視し、三権分立よりも市民が直接選んだ共同政体を信頼しました。議会制や三権分立ではなく市民の「一般意志」を至上とするルソーの進歩思想は、その後、人間の理性を重視する社会主義者や共産主義者に広く受け入れられていきます。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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