ロシアのプーチン大統領は現在、国際的な嫌われ者とされており、彼が新たな支持を求めて接近しているのは中国です。10月18日の中露首脳会談では、プーチン大統領が両国の経済協力を強調しましたが、近年、対中債務の増加によりロシアは中国の属国に近づいているとの指摘があります。
対中債務がかさんでいるロシア
ウクライナ侵略に対してはプーチン大統領が強硬な姿勢を崩していない一方で、彼の外交の幅は狭まっており、最近では北朝鮮の金正恩との関係をアピールしているところまで落ちぶれています。この流れでロシアは中国と連携し、中国の支持を取り付けようとしていますが、結果、対中債務が膨らみ、アメリカの研究機関によれば、2021年時点でロシアが中国に1250億ドル(約18兆7千億円)の債務を抱えていると分析しています。
一帯一路構想では積極的に協力
2014年のクリミア半島の併合により欧米からの制裁を受けたロシアは、中国との経済協力を模索し、2017年にプーチン大統領が中国を訪問し、巨大経済圏構想「一帯一路」の実現に協力する意向を表明しました。この協力は具体的な成果を上げており、北極圏での液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトに中国企業を参加させたり、中露間の天然ガスパイプラインを稼働させたり、ロシア極東アムール州と中国黒竜江省を結ぶ橋を開通させたりするなど、経済協力は順調に進行しています。
対等な中露関係を演出してきたが…
ただし、ロシアは中国との関係を築く際、中露の協力を対等だと演出しようとしてきました。これは、ロシアが中国より下位に位置づけられることで、中央アジア地域での影響力が低下するのを防ぐためです。しかし、ウクライナ侵略の継続により、この演出も限界に達しています。
中国からの資金は不良債権化、天然ガスは買い叩かれる
アメリカのタイム誌によれば、中国がロシアに提供した一帯一路プロジェクト向けの資金がロシア制裁によって不良債権と化しているとの報道があります。また、ウクライナ戦争により欧州からの天然ガス購入が減少したため、ロシアは中国に転売しようとしていますが、中国は価格交渉で有利な立場に立っており、ロシアは欧州やトルコ向けの価格と比較して3分の1程度でしか天然ガスを販売できていないとされています。
北朝鮮に次いで中国に依存するロシア
データによれば、ロシアの中国への依存度は北朝鮮に次ぐ世界第2位になっており、プーチン大統領にとって中国からの支援が欠かせなくなっています。中国はロシアを利用するだけでなく、ロシアも中国を利用している側面があります。ウクライナ侵略が続けられる限り、ロシアが中国に対して属国としての立場を強いられる可能性が高まっています。
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