ロシアの侵略に対抗し続けるウクライナ政府と軍の間で、対外的なメッセージ伝達や幹部の人事に関しての不調和が顕在化しています。最近、ウクライナのゼレンスキー大統領が汚職問題を理由に政府高官を更迭したことが、この問題に拍車をかけており、政府と軍の間で適切なコミュニケーションが困難となり、ゼレンスキー政権の支持が低下する可能性が心配されています。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官の異例の発言
この懸念は、ウクライナ軍総司令官であるザルジニー氏が、イギリスエコノミスト誌に対して、ウクライナ戦争が第一次世界大戦のような消耗戦に入っており、ロシアに有利な状況にあると指摘したことにより浮上しました。この発言に対して、大統領府の高官は、前線での出来事や将来の選択について報道機関に直接コメントするべきではないと抗議しました。ウクライナの最高司令官でもあるゼレンスキー大統領も、11月4日の記者会見で、戦線は膠着状態ではないと述べ、ザルジニー氏の分析を否定しました。
不透明な人事による軍の不信感
ザルジニー総司令官の発言の前に、ゼレンスキー大統領が発表した特殊作戦軍の司令官の交代についても、前司令官が「理由が不明だ。報道で知った」と内情を明かすことで軍内で波紋が広がっています。さらに、ゼレンスキー大統領自身がアメリカのタイム誌のインタビューで「私以外の誰もがウクライナの勝利を信じていない」と不満を表明するなど、戦争の終結が見通せない状況において、政府と軍の両者が不満を抱いていることが明白です。
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