マフィン食中毒のショッキングな事件が、無添加食品が必ずしも安全で信頼できるとは限らないことを浮き彫りにしました。東京ビックサイトで開催されたアジア最大級のアートイベント「デザインフェスタ」で「Honey×Honey xoxo」という焼き菓子店が出店しました。ところが、その店のマフィンを食べた人たちが体調不良を訴え、厚生労働省もこれを自主回収の対象としました。このマフィンは2日間で3000個も販売されたもので、健康志向の消費者に支持される無添加の商品として知られていました。しかし、なぜこんな事態になったのでしょうか?
事件の概要
問題のマフィンを販売したのは東京・目黒区にある「Honey×Honey xoxo」という焼き菓子店です。この店は防腐剤や添加物不使用で焼き菓子を提供し、砂糖の量も通常の半分以下に抑えており、健康志向の消費者から支持を受けていました。「デザインフェスタ」では多くの人がこの店を訪れましたが、その後、マフィンを食べた人からSNSで腹痛や下痢、嘔吐といった体調不良や、異臭や糸を引く具材が指摘されました。店は食中毒が発生したことを認め、公式に謝罪。保健所も立ち入り検査を実施しました。Honey×Honey xoxoは公式サイトで「デザインフェスタ」で販売した9種類のマフィンを自主回収を発表し、返品方法を案内しています。
防腐剤や添加物不使用の落とし穴
Honey×Honey xoxoは健康志向の消費者に支持される理由として、防腐剤や添加物不使用、そして砂糖の減量を挙げていました。確かに、防腐剤や添加物は良くないイメージを持たれることがありますが、それらを使わない場合、食品の賞味期限が短くなる傾向があります。また、砂糖自体が天然の防腐剤として食品の腐食を防ぐ効果もあるのです。防腐剤や添加物を使わないことが健康につながると信じ込むと、実は逆に体内に有害な細菌を取り込むリスクが高まり、食中毒のリスクが増す可能性があります。
事件は防腐剤や添加物不使用が逆効果に
報道によれば、Honey×Honey xoxoの店主は1人で5日前からマフィンを製造していたとされます。店舗で販売する量が限られている場合は問題ないかもしれませんが、1人で5日間かけて3000個のマフィンを製造すると、適切な温度管理があっても腐ったり傷んだりするお菓子が出るのは当然です。店主の食品衛生の認識はあまりにも甘く、食品製造者としての責任は問われないといけません。
潔癖症は別のリスクも
今回の食中毒事件では健康へのリスクが「CLASS Ⅰ」に分類されました。これはフグや毒キノコ、ボツリヌス菌で汚染された食品などと同じ最も危険なレベルであり、重篤な健康被害が発生する可能性が高いです。この事件で責任があるのは、防腐剤や添加物を理解せずに製造されたマフィンを販売した店主だけでなく、無添加で安全だと信じてしまった消費者にも一部責任があります。Honey×Honey xoxoは無添加、防腐剤不使用の焼き菓子を離乳食完了期のお子様でも安心して食べられると宣伝していました。もし消費者がこれを信じ、幼児に腐ったマフィンを与えていたら、取り返しのつかない事態になりかねません。潔癖症が行き過ぎると、別のリスクを招くことをこの事件から学ぶべきです。
▼こちらもどうぞ