人に幻覚を見せるといえばキツネやタヌキ、あるいは特殊なキノコのようなイメージですが、アフリカ大西洋沿岸から地中海に到る地域に生息するサレマ・ポーギーという魚は食べる事で人に幻覚を見せる事で知られ、アラビア語では「夢を見せる魚」と呼ばれているそうです。
視界がぼやけ、嘔吐と筋肉の弛緩と幻覚
実際にサレマポーギーを食べた人の経験は強烈で、食後2時間では気分が悪くなり、筋肉のだるさや嘔吐に苦しみます。症状は最大で36時間も続きますが、耐えがたいのは、その間に、動物が悲鳴を上げる声を絶えず聴いたり、巨大な節足動物が体の周辺にまとわりつく幻覚を見る事でした。完全なバッドトリップですが、サレマ・ポーギーの毒は数日で排出されるのか、次第に患者は正気を取り戻すそうです。
誰でも幻覚を見るわけではない
古代ローマ時代より、手軽に幻覚を見せてくれる魚として珍重されたサレマ・ポーギー。しかし、この魚は別の幻覚作用がある物質と比較しても謎が多く、同じようにサレマポーギーを食べても幻覚症状を見ない人が普通なんだそうです。現在では、サレマ・ポーギーが食べる海藻の一部に毒を持つものがあり、それを知らずに人間が食べる事で幻覚が発生すると考えらえているそうですが、サレマ・ポーギーそのものは市場で市販されていて、購入者が次々と幻覚を引き起こすという事はないようです。
極めて当たる確率が低い幻覚剤
そんなわけでサレマ・ポーギーは、現在でも地中海の市場で普通に販売されていて、もしかしたら地中海地方を旅行したあなたは知らずに食べるかも知れません。ほぼ何の問題もないと思いますが、もしサレマ・ポーギーを食べて急に具合が悪くなったら、それは、数日続く悪夢の幻覚の始まりかも知れませんよ。
▼こちらもどうぞ
「愛は勝つ」のヒット曲で知られる歌手のKANさんメッケル憩室ガンで死去。[61歳]