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飛んで火にいる夏の虫は事実ではなくなる?昆虫が[ライトトラップ]を回避

2024年4月28日


袁術に捕まってしまう華歆(華キン)

 

 

夏になるとコンビニや商店の軒先で作動する青白い光のライトトラップ。光に吸い込まれてバチッと音を立てて地面に落ちていく蛾や羽虫は「飛んで火にいる夏の虫」という慣用句の正しさを思い起こさせます。しかし未来人は飛んで火にいる夏の虫を理解できなくなるかも知れません。それは、近年、虫が進化しライトトラップに飛び込まなくなっているからです。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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アメリカの農場データで顕著な差が…

世界史04b アメリカの国旗

 

虫が進化してライトトラップに飛び込まなくなっているという信じがたい研究は、アメリカハーバード大学の調査で明らかになりました。アメリカの農園では農作物に甚大な被害を与えるアメリカタバコガの駆除が問題になっていて、タバコガの駆除データも残っていたのです。そこでハーバード大学の研究チームがデータを元に調査をすると、例えばデラウエア州では、主にメスのガのフェロモンを使って蛾を駆除するトラップとライトトラップで蛾を駆除する方法を取っていましたが、25年前のデータでは、フェロモンで駆除されるアメリカタバコガを100%とすると、ライトトラップで捕獲されるアメリカタバコガの数は30%でした。しかし、最近のデータではフェロモントラップで捕獲されるタバコガの数には変化がないものの、ライトトラップで駆除される蛾の割合は、4.6%と25年前の7分の1に激減していたのです。この現象はデラウエア州だけではなく、全米の農場で見られました。アメリカタバコガは全米各地でライトトラップに掛からなくなっていたのです。

 

 

アメリカタバコガが進化した

袁術

 

では、この25年の間に、アメリカタバコガの中で何が起きたのでしょうか?それは進化における淘汰だと考えられます。つまり、タバコガの中で光の誘因に弱い遺伝子を持つ蛾が、ライトトラップで駆除されるか、エネルギーを使い果たして子孫を残せないまま死に絶えた一方で、光の誘因に強い遺伝子を持つ蛾が生き残り、光の誘因に強い遺伝子を持つ蛾同士が交配し、さらに光の誘因に強い種を生み出した結果なのです。

 

 

夜が明るくなった事はあまり関係がない

光武帝

 

また、ライトトラップが効かなくなった原因として、昔に比較して町が明るくなり、アメリカタバコガが光に順応したのではないか?という学説もありました。しかし、今回の実験では、都市の農園と田舎の農園で調査してもライトトラップで駆除されるアメリカタバコガの割合に有意な差がないことが判明し、蛾が光に慣れたせいでライトトラップに掛からなくなった説は否定されました。

 

 

人間の数百倍の速さで進化する昆虫

曹操と羊と蚊

 

昆虫は人間の世代交代の数百倍の速さで世代が変わるので、極めて短期間で淘汰が行われ、進化が促進される事があるようです。しかし、光への誘因は拒否できても、変わらずメスの蛾のフェロモンに雄の蛾は引っ掛かっているので子孫繁栄に直結する巧妙なトラップには、いかに蛾であっても、なかなか抗えないようですね。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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