ウクライナ侵略を開始したロシアへの経済制裁として欧州委員会はロシア資産を凍結しましたが、今後、その利子をウクライナの軍事支援にあてる事を計画しています。この発表に対しロシアのペスコフ大統領報道官は欧米の投資環境に深刻なダメージを与えると非難し、法的手段に訴えて最期まで戦うとコメントしました。
ロシアの凍結資産47兆円
ロシアの凍結された資産は47兆円で、そのうち欧州で凍結された資産は31兆円余りに及びます。この31兆円の利子や配当金は3000~6000憶円にも及び、欧州議会は、この金額を戦争終結後のウクライナの経済復興に充てる見通しでした。しかし、戦争そのものが長期化した事態を受けて欧州議会は方針を転換し、ロシアの凍結資産の配当金と利子でウクライナへの武器供与を検討しています。
凍結資産の活用は合法
しかし、戦争中とはいえ凍結したロシア資産を活用するのは国際法上問題ないのでしょうか? この点について、アメリカスタンフォード大学フーバー研究所のシニアフェロー、ゼリコウ氏を中心に、日本、アメリカ、イギリス、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダの国際法の専門家が集まり、経済制裁により凍結されたロシア資産のウクライナ復興の活用について議論した結果「国際法上、合法」との見解を示し、各国政府に書簡を送付しました。合法である理由として、ウクライナ侵略によりロシアは、国際法の最も根本的なルールに違反した事を強調。そして国際法は、対抗措置を取ることを認めているとして、ロシア政府の資産をウクライナへの補償に充てられるとしました。
侵略戦争に対する抑止に効果が期待
また、具体的な補償のシステムについては「国際メカニズム」を創設した上で、金融機関などが保管しているロシアの凍結資産を移転。そして、ウクライナなどからの補償請求を個別に審査した上で、分配する手法を提示しました。このような機関が組織できれば、侵略戦争を引き起こした国の資産を凍結できるばかりではなく、その資産を利用して侵略を受けている国を軍事的に支援したり、戦後の経済復興に使うなど、侵略国に対しての抑止力になりそうです。
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