アメリカがウクライナ支援を再開して1ヵ月以上が経過しますが、まだまだ全ての支援物資は届いていないようです。ウクライナの大統領顧問菅は、5月29日アメリカからの支援がまとまった規模で届くには数週間かかると発言していて、ロシアの猛攻に対しウクライナが攻勢に出るのは厳しい状況です。しかし、一方でアメリカや欧州よりウクライナに対しロシア領内への攻撃を認めるべきとする声も出ています。
ロシアはミサイルと無人攻撃機でウクライナ全土を爆撃
アメリカからの軍事物資支援が本格化するまえにウクライナの領土を寸土でも奪おうとロシアはミサイルと無人機攻撃を継続しています。一方でウクライナは砲弾や防空ミサイルの不足が続く中で防御戦闘を継続している状況です。ゼレンスキー大統領は、6月2日までの1週間でロシア軍がウクライナ領土内に多様なミサイルや航空機投下爆弾、無人機による爆撃を1000回近く繰り返したと発言しました。ロシア軍はペトロウスク州、ドネツク州、キロヴォフラード州やイワノ・フランキウスカ州のエネルギー施設を攻撃、水力発電所や火力発電所に被害が出ています。
アメリカや欧州からロシア領内の攻撃を認める声
ウクライナの防戦状況を受けて、これまで頑なにロシア領土内への攻撃を禁止してきたアメリカや欧州の態度に変化が生じています。アメリカ国務長官はバイデン大統領がアメリカが供与した兵器を使用してハルキウ防衛のためにロシア領内を攻撃する事を許可したと発言。オランダの国防大臣は自国が提供予定のF16戦闘機によるロシア領内への攻撃を認める発言をしています。この発言を受けてウクライナ軍は、ロシアのベルゴロド州を攻撃しミサイルランチャーを破壊しました。これまでウクライナ軍は長距離兵器を供与されても、ウクライナ領内のロシア軍を攻撃する事しか許されませんでしたが、それが緩和され、ロシア領内の兵站を叩けるようになれば、戦況にも変化が出てくるでしょう。
プーチンの核恫喝も通じず
プーチン大統領は、これら欧米の声に対し核の恫喝をしていますが、それは2年前から延々とやっている事であり、ほぼ効き目がない事は明らかです。そんな事をすれば、全世界を敵に回す事になりロシアは領土を増やすどころではなくなります。これはプーチン大統領が一番よくわかっている筈ですが、ウクライナ軍にロシア領内への攻撃が認められれば、これまで他人事だったロシア国民にも戦争被害が及ぶ事になり、プーチン大統領への不満が高まる事を恐れての牽制だと思われます。
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