ウクライナは、黒海海域でロシア海軍の艦船や輸送船を標的とした海上ドローン攻撃を本格的に展開しています。今年8月上旬には、ロシアの揚陸艦や燃料タンカーを相次いで攻撃し、戦果を上げています。なぜこのような攻撃が行われているのでしょうか?
クリミア半島と黒海のロシア軍補給線を叩く
アメリカのシンクタンク、戦争研究所の分析によると、ウクライナの海上ドローン攻撃は、ロシア軍の兵站に深刻なダメージを与えることを目指しているとされています。クリミア半島と黒海はロシア軍の補給線であり、ここでロシアの船舶やタンカーが攻撃され、橋が破壊されると、ロシア軍の補給に重大な影響を及ぼす可能性があります。こうした攻撃によって、ロシア軍の前線の戦意を削ぎ、ウクライナが反転攻勢を有利に進める狙いがあるとされています。
SNSを駆使してドローン海軍の資金調達を推進
ウクライナは内陸国であり、海軍力は限られています。そのため、手頃なコストで効果的な戦果が期待できる水上ドローンを活用しようとしています。ウクライナは水上ドローンの製造ラインを建設するための資金を募る取り組みを行い、製造を進めてきました。これらの水上ドローンはボート型の機体で、TNT火薬を積んでおり、一隻あたりの価格は25万ドル(約3600万円)と手頃です。これらの小型で高速なドローンは、ロシア海軍による発見や破壊を難しくしています。
全ロシア艦艇が沈没の可能性も
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が黒海を封鎖し、ミサイル攻撃を続ける限り、水上ドローン攻撃を強化する意向を示し、戦争が終結するまでにロシアが一隻の艦艇も持たなくなる可能性があると述べています。ウクライナ政府はさらに、ロシア南部のノボローシスクやソチを含む6つの港の周辺海域を「戦争危険区域」と指定しました。
▼こちらもどうぞ
なぜロシア空軍は効果的な活動ができていないのか?[ロシアのメンツが関係]