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ソクラテスとプラトンはどう違う?[大人の学び直し]

2023年10月14日


肉体を鍛え競争を好んだ古代ギリシャ人

 

 

ソクラテスとプラトンは共に古代ギリシャの哲学者であり、プラトンはソクラテスの弟子である事はよく知られています。しかし、そんな2人の思想にはどんな違いがあるかは、あまり知られていないのではないでしょうか?今回は、そんなソクラテスとプラトンの違いを解説します。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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本を残したか否か?

歴史書をつくる裴松之

 

ソクラテスとプラトンの第一の違いは、書籍を残したかどうかです。ソクラテスは人を論破する事に忙しく書物を残さず、その業績の大半は対話を通じてもたらされました。ソクラテスの思想はプラトンを含む弟子たちによって書き記され後世に伝わったのです。一方のプラトンは多くの哲学的著作を執筆し、自身の哲学を体系的に記録しました。彼の著作はソクラテスの問答の影響を受けた対話形式であり、主要な哲学的アイデアや思考実験が含まれています。

 

真善美のとらえ方

優勝金(大金)欲しさに欲望にまみれたアスリートとコーチ(古代ギリシャ人)

 

ソクラテスは知識の限界である「無知の知」を認識し、自己認識と道徳的な洞察を重視。驕り高ぶらず、事実に対し謙虚に注意深くあることで、人間は、より良く道徳的に生きる事が出来ると考え、個別の事例から人類に共通する普遍的な真理を導き出そうとしました。一方のプラトンはソクラテスの哲学を受け継ぎつつもイデア論を導入します。イデア論とは不完全で虚ろな現実世界に対し、完全で真実である世界を意味します。プラトンによれば現実世界は、このイデア世界の反映であり、人間が真実を追求し、善や美を求めるのもイデアの影響を受けていると考えました。そのため人間はイデアを完全に認識する事が出来ず、ひたすら謙虚に考えを巡らせる事により、不完全な現実社会を認識し、思想的な高みに到達できるとしています。つまり、ソクラテスが真善美を毎日の生活経験の中に見出そうとしたのに対し、プラトンは真善美を遥かな高みに置き、生涯を懸けて体得するものとしたのです。

 

 

政治について語るか否か

国会議事堂

 

ソクラテスは主に個人の徳に焦点を当て、政治については詳細に語る事がありませんでした。彼は、自己認識と道徳的教育を重視し謙虚で注意深くある人が増えれば、人間の集合体である政治もまた上手く統治されると考えていたようです。一方のプラトンは政治哲学に深く関心を持ち、著作「国家」や「ポリティア」で同時代のアテネの政治腐敗を批判し、個人だけではなくポリス政治のあり方にも理想を求めるようになり、徳のある哲人が国を統治する哲人政治を標榜、軍人が国防を担い、市民が文化を担う分業国家を理想とし、ソクラテスの思想よりも規模が大きくなっています。

 

 

まとめ

東京スカイツリー、kawausoさん

 

このようにソクラテスとプラトンの違いは、著作を残したか否か?真善美を経験で体得できる素朴なものと捉えるか、長年の思惟によってようやく体得できると捉えるか?哲学を個人の徳に限定するか、人間の集合体である政治にまで拡大させるかの違いだと考えられます。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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