ヒルトンが自社ホテルを褒め称えながら、日本の伝統的な旅館を非難するPR動画が、ネットユーザーから批判を浴びています。1919年に創業し、世界中で584のホテルを展開する「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」が、最近YouTubeにアップした動画が話題になりました。この動画では、ヒルトンのホテルを賞賛しながら、日本の伝統的な旅館を貶める内容でした。一体、なぜこのような動画が制作されたのでしょうか?
10月24日に公開された30秒動画
非難の対象となったのは、10月24日にヒルトン公式YouTubeチャンネルに投稿されたヒルトン「とまるところで、旅は変わる。予定でいっぱいの休暇」篇という30秒の動画です。この動画では、旅館の受付に着物姿の女将さんをイメージした女性が登場し、一方的に早口で入浴時間や夕食の時間などを指定し、カップル風の男女が戸惑う様子が描かれています。最後には、「せっかくの休みなのに、まったく休みがとれないとき」とのナレーションが入り、ヒルトン系列ホテルの映像に切り替わります。こちらでは上級ブランドであるコンラッドホテルが紹介され、ホテルマンが柔軟なサービスを提案し、カップルが喜ぶ様子が描かれています。
当初は問題視されなかったが…
この動画は最初は問題視されていませんでしたが、11月13日に一部のユーザーがツイッターで紹介したことで拡散され、批判が噴出しました。ツイッターユーザーたちは、ヒルトンが旅館の時間の制約を批判している点に共感せず、むしろ自社ホテルのホスピタリティをアピールするために旅館を貶めるような内容に見えたことから非難が相次ぎました。動画を視聴した筆者も、ヒルトンが日本の旅館を貶めながら自社を持ち上げる姿勢が目立つと感じました。特に、動画内で紹介されていたコンラッド大阪の宿泊料金が1泊あたり大人1人3万5000円と高額であることを考えると、ハイグレードホテルと一般的な旅館のサービスを同列に比較することは適切でないように思えます。
ヒルトンは旅館を知らないのでは?
また、動画は旅館のサービスや制約を理解せずに、おそらく旅館に宿泊した経験がないのかと思われる制作陣によって制作されたもののようです。旅館の入浴時間や食事時間には衛生面やおもてなしの文化が反映されており、これを無理にホテルと同じ基準で評価することは難しいでしょう。ホテルと旅館は異なる接客態度を持ち、比較する際にはそれぞれの特徴を尊重する必要があります。比較CM自体が問題ではありませんが、今回のヒルトンの動画は旅館に対する偏見を感じさせ、公平に比較しているとも言えず、その勉強不足や傲慢さが、視聴者の怒りを引き起こしたと言えるでしょう。
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