人間は進化し、言葉や文書を使った高度なコミュニケーションを発展させ、万物の霊長になりました。特に先進国では、飢餓や疫病、猛獣からの脅威から解放され、以前の生存の苦闘から一変しました。しかし、このような進歩した環境でも、私たちは多くのストレスに直面し、幸福を実感できないことがあります。その背景には、私たちの幸福には関係のない古い脳の働きがあるのです。
脳は今でもサバンナの脅威に備えている
私たちの脳は、高度な社会で生活しているにも関わらず、まだサバンナの脅威に対処するようにプログラムされています。人類が農耕を始めたのは数百万年の人類の進化の歴史からみれば、ほんの40世代前の出来事であり、脳はそのような急激な変化に適応できていません。そのため、例えば仕事に向かう間中、猛獣や毒蛇に襲撃される事はまずないのにも関わらず、脳はそのような危険を警戒し続けているのです。
脳は生存を優先する
私たちの脳は、高度な機能を持ちながらも、生存と子孫繁栄を最優先としています。たとえば、会社の大きなプロジェクトを任された場合、私たちは少なからずストレスを感じます。もちろん、それが失敗しても命にかかわるような事はありませんが、脳はストレスに対し、生存の危機を感じるかのように反応します。このため、ストレスが続くと負担を軽減するために体調を崩したり、行動を制限してストレスを回避しようとするのです。
脳は幸福を追求しない
現代人が幸福を追求する一方で、私たちの脳はまだサバンナでの生存に焦点を当てています。私たちが食べ過ぎるのも、その結果としての飢えへの恐怖が影響しています。このため、私たちはダイエットや将来の不安に苦しむことがあります。
脳の癖を知ることで、ストレスを軽減できる
脳は過酷な状況に適応した進化の産物です。そのため、現代のストレスに適切に対処するのは難しいことがあります。しかし、脳の動作原理を理解することで、ストレスの対処法が見えてきます。私たちが感じるストレスや不安が、実は脳が猛獣や毒蛇に襲われる事から私たちを守ろうとする反応であることを理解すれば、少し気楽に生きることができるでしょう。
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