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権力者が夢見た不老不死[現代アンチエイジングの最前線]

2024年12月15日


 

生あるものには必ず死は訪れます。古代より、絶対的な権力を握った人間は、迫り来る死の恐怖から逃れようとしていました。古代中国を最初に統一をしたキングダムの主人公でもお馴染みの秦の始皇帝「政」は、幼いころから身体が病弱だったこともあり、部下に不老不死の薬を作るよう命じます。

 

 

始皇帝は若くして死に至りますが一説では、水銀を薬として処方され、水銀による中毒死との見解もあります。さて、「生」に渇望した時の権力者たちですが、これは21世紀になっても変わりません。

 

司馬攸は宿所で血を吐いて38歳で亡くなる(臨終)

 

今回は、死後の世界、不老不死、生命といった哲学的な要素を排除し科学的なアプローチで、現代の不老不死の技術がどこまで進んだのか?科学が苦手な方でも「寿命」や「死のメカニズム」について理解できますよ。始皇帝や三国志で有名な曹操や孫権が追い求めていた「不老不死」の実現に向けて遺伝子工学の世界をご案内します。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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そもそも何で人は死ぬの?


人間は何で、病気や老衰で亡くなってしまうのか?

 

自分の側近に武装させる孫尚香

 

これは細胞のメカニズムを少し分かるだけで理解できます。私たちの身体は、約60兆の細胞から成り立っています。これらの細胞は毎日のように分裂して増えていき、やがて古い細胞と新しい細胞が入れ替わっていくのです。細胞が分裂し続けると私たちの皮膚は約28日間でそっくり全部入れ替わり、肝臓も1年かけて全て新しい細胞に変わります。ですが、この細胞分裂は有限であり実験の結果、約50〜60回の分裂の上限があると分かってきました。

 

はじ三倶楽部 スマホの誤変換でイライラする参加者(はてな)

 

では、何で50〜60回しか分裂できないのか?これには細胞の中にある「テロメア」という特殊なDNAが関係しているのです。

 

 

 

テロメアって何?テロメアが短くなると老化する

幕末 西郷隆盛(パソコン)はてな

 

テロメアとは、染色体の端っこについており、DNAの中身を守ってくれる構造のことです。テロメアは細胞が分裂するたびに、少しずつ短くなり、半分ほどになるとその細胞は分裂を辞めて、やがて細胞は自然と死に至ります。この働きから、テロメアは「生命の回数券」と呼ばれているのです。またテロメアの長さは生活習慣によって変化するため、個人差があります。同じ年齢同士であってもストレスや悪質なライフスタイルによってテロメアが短くなったりするのです。

 

 

 

世界初のクローン羊ドリーの短命もテロメアが関係していた

羊

 

1997年7月5日にスコットランドで世界初の哺乳類の体細胞クローンである羊のドリーが誕生しました。ドリーは6歳の雌羊の体細胞の核を除外した胚細胞に移植する技術によって生命を吹き込まれました。しかしドリーのテロメアはすでに短くなっていた細胞を使っていたので、異常な若さで関節炎を発症し衰弱してすぐに死んでいます。つまりドリーは生まれてきたときから既に6歳だったと推測されています。

 

 

寿命をつかさどるテロメアの研究とノーベル医学賞

 

細胞と生死を巡る研究は現在も世界中で活発になっています。2009年度のノーベル医学生理学賞は染色体を保護するテロメアを発見し、テロメアが短くならない酵素を研究した3人の米国の学者(エリザベス・H・ブラックバーン、キャロル・W・グレイダー、ジャック・W・ショスタク)に贈られました。そして2012年にはさまざまな細胞に分化培養できる細胞(iPS細胞)を作製した山中伸弥教授にノーベル生理学・医学賞を与えられました。

 

 

老化は避けられる病気としてアンチエイジング医学会が設立

三浦義澄 鎌倉

 

「アンチエイジング」とは、年を取ると起こる老化の原因を抑制することによって、身体的機能の衰えを予防したり改善することです。

 

はじめての三国志の読者様も、「アンチエイジング」という言葉を一度くらいは耳にしたことはあるのではないでしょうか?特に美容面ではよく使われる言葉ですね。アンチエイジングは広く認識され1993年には米国アンチエイジング医学会を12人の医師によって設立されました。今では105カ国、2万人を超える医師が会員となり大きな医学会になっています。日本でも2001年に日本抗加齢医学会が設立され現在では7800人の医師を擁しています。

 

日本抗加齢医学会

 

 

不老不死のサプリと不老不死は実現可能なのか?

 

上述したとおり、老化に対する医学的な取り組みが行われている21世紀ですが、1年に1歳を人が取る加齢を避けることはできません。しかし医学的視点から加齢に伴う老化現象の防ぎ遅らせる技術は発達し、身体の機能が衰えるスピードを緩やかにすることは成功しています。老化自体を止めることは現代科学をもっても実現は出来ていませんが老化を遅らせるためのテロメラーゼ分泌を促すサプリは米国でも盛んになっています。科学技術は日進月歩の世界なので不老不死のテーマも留まることを知りません。科学の進歩は既に神の領域に踏み込んでおり倫理的な観点を無視した場合、不老不死は実現可能だと私は思っています。

 

 

はじめての三国志代表・おとぼけの独り言

はじめての三国志主宰 おとぼけ(田畑雄貴)

 

今回は「命」という扱いが難しいテーマを科学の視点でお伝えするにあたって哲学・倫理を排除しました。ですがこれは大変危険なことのため最後に倫理的な観点のお話を。遺伝学的向上は、「世界保健機構(WHO)による遺伝医療に関するガイドラインにおいては、生命論理上行われてはならない」ものとして否定されています。現代の科学をフルに稼働させれば人間のクローンを作ることも容易く、受精卵の遺伝子を操作して免疫力のある死ににくい人間を作ることも現在は議論されていますが、倫理上、厳しく禁じられています。科学の健全な発展のために超えてはならない倫理的問題もあります。

 

 

科学技術の進歩と発展は一概に私達を幸せにするということは限りません。交通手段の発達は私たちの利便性をよくしてくれましたが、交通事故の増大や大気汚染などの問題、またインターネットによる情報革命も起こりましたが、新たな犯罪や個人情報の流出など科学発展の恩恵を受けるにはデメリットにもしっかり向き合う必要があります。

 

はじ三の読者様、今回は科学の視点による不老不死についていかがでしたか?実は、人体の中には「分裂をしない細胞」もあるのです。それが、脳の中枢にある「神経細胞」や心臓の「心筋細胞」です。これらの細胞は身体の中でも極めて大事な機能を持っているので代わりの置き換えがないのです。不思議ですよね。今回は、不老不死とテロメアを分かりやすく解説したため、神経細胞や 心筋細胞といった細胞には触れませんでしたが、興味がありましたら下記、書籍は専門的すぎず入門者にとっても分かりやすい内容になっているのでオススメですよ。

 

 

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数々のブレストと思いつきで場を散らかした後、権限委譲と言い放ち、kawauso編集長に丸投げし去っていく。インターネットの不特定多数無限大の可能性にロマンと情熱を捧げる「はじめての三国志」の創設者。創造的で自由な発想が称賛や批判を創発し、心をつかむコンテンツになると信じている。各メンバーのパーソナリティを尊重し、全員の得意分野を活かし、補完し合うチーム作りを目指している。

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