NHK大河ドラマ「どうする家康」にて、主人公徳川家康(松本潤)の最初の妻となる瀬名姫(有村架純)。ドラマでは、家康と瀬名の微笑ましい場面が展開されていましたが、後に破局する事が確定している2人だけあり、和やかな空気の中にも「ん?」と思われる部分がありました。どうもドラマの瀬名姫は男をダメにする典型的なタイプのようなのです。
ダメな家康を肯定する瀬名姫
初登場の少年家康は学問や武芸よりも、オモチャで遊ぶ方が好きな空想好きな少年でした。しかし、家臣が見ている前ではそんな自分を隠そうとするなど(これではいけない)と思っている部分もありました。しかし、瀬名姫はそんな泣き虫で弱虫で女々しいごっこ遊びをする家康が好きだと告白します。それで家康が内心驚喜したのは想像に難くありません。
結局、瀬名姫と共にかくれんぼをやりはじめる家康。平和な世の中ならそれでいいでしょうが、時代は乱世でしかも三河の主になる事が運命づけられている家康に、そんな事を言ってはいけません。家康にとって瀬名姫はつらい現実から逃避する逃げ場所になっているのです。男を甘やかしダメにする女性の要素を瀬名姫は持っていると言えるでしょう。
兵糧運びを軽い仕事だと喜ぶ瀬名姫
家康と結婚した後も、瀬名姫の「?」な言動は続きます。今川義元が尾張攻略に着手し、家康にも兵糧運びの任務を与えますが、その任務を家康から聞いた瀬名姫は「簡単な仕事」で「危険はない」と聞いて大喜びします。
これも武士の妻としては疑問符がつく発言です。夫である家康が義元に重大な任務を任されないという事は家康に出世の目がないという事であり、嘆かないといけない場面なのです。本当なら「そんな事でどうするのです!しっかりなさいませ」と家康を奮起させるのが、あの場では正しい選択でしょう。いかに子供が小さく心細いとはいえ、夫の出世よりも無事に帰る事を優先させるのでは、とても後の天下人の妻は務まらないでしょう。
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マイホームパパ志向の瀬名姫
また、同じ場面で瀬名姫は兵糧運びの任務を捨て、家康や子供たちと、誰も知らない所に落ち延びてのんびり暮らしたいと非現実的な夢を語り出します。これは、厭離穢土欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)を掲げ、地獄のような世の中を浄土に変えたいという志を持つ家康とは真逆で、周囲がどうなろうと自分達が幸せであればいいという考え方です。
平凡なサラリーマンの立場ならそれでもいいでしょうが、今川と織田の激しい権力抗争に否応なく巻き込まれる家康の立場で、そんな事が許されるわけはありません。今は不協和音がありませんが、今後、家康が覚醒していくに連れて、瀬名姫との関係は険悪になっていくでしょう。
かなり気の強い瀬名姫
家康を甘やかしてしまう瀬名姫ですが、一方でかなり気が強い一面もありました。このタイプの女性は、彼氏や旦那が自分の言う通りにならないと一転して厳しく突き放す傾向があります。これは男を成長させる意味での厳しさではなく母親気分で「私に従いなさい、言う事を聞きなさい」という独占欲から来るものなので、遠からず男は反発したり、嫌悪感を持つようになるでしょう。
破局のタネはすでに内包されている
このように、現状和気あいあいに見える家康と瀬名姫の関係ですが、すでに後の破局のタネは宿っているように感じます。これは瀬名姫だけが悪いというわけではなく、家庭的で子煩悩な夫を求めた瀬名姫と天下を目指す家康の最初から存在した埋められない溝という事なのでしょう。
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