前漢時代暴れん坊としてその名を裏社会に轟かせた郭解(かくかい)。
若い頃はすぐにキレてしまう暴れん坊なところがあり、一度キレたら手がつけられない人でした。
また法を犯した数は数しれず、人殺し、強盗、偽金作りなどを行ったことで、
牢屋にいくどもぶち込まれてしまいます。
手の付けられない暴れん坊であった郭解も歳を取るにつれて性格が丸くなっていき、
人徳のある人物へと変わっていきリーダーとして慕われていきます。
今回はリーダーとして慕われることになった遊侠人郭解のエピソードを
ご紹介していきたいと思います。
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リーダー郭解のエピソードその1:自らの徳が薄いことを恥じる
郭解は邑の顔役で、彼が外を歩いていると皆が道路を開けたそうです。
そんな顔役郭解がいつものように外を歩いていると足を投げ出して、
郭解を睨みつけるようにして見ている一人の男が降りました。
彼は子分に「あの人の名前を聞いてくるように」と命令します。
すると子分は親分・郭解が道を開けないで無礼にも足を
投げ出している男に腹を立てているのだ考えて、彼を殺害しようとします。
郭解は子分がすごい形相で男の下へ行こうとしていることに気づき
「あの人が道をよけないで足を投げ出しているのは、
私に足りないところがあるのだと知りたいからあの人の名前を聞いてこいと頼んだのだ。
もういい行くぞ」と行ってその場を後にします。
郭解はこのこと出来事が気になっており後日村の役場へ行って役人へ
「道で足を投げ出している男がいるであろう。あの人は私にとって大切な人だから、
兵役を免除してくれ」とお願いします。
郭解のお願いを聞き入れた役人は男を兵役から免除します。
兵役を免除されていた男はなぜ自分が兵役を免除されているのか理由を知りたくなり、
役人へ訪ねます。
すると役人は男へ「郭解が君の兵役を免除してくれと依頼されたからだ」と聞きます。
このことを聞いた男はすぐに郭解の所へ行って自らが行った無礼を謝ったそうです。
この話を聞いた民衆は郭解の度量の大きさに感嘆し、彼を慕うようになっていきます。
リーダー郭解のエピソードその2:権力者を立てる
洛陽(らくよう)では色々な実力者がおりましたが、ある実力者が人から恨みを買うような事件が
発生します。
この事件を知った洛陽の実力者達はこの実力者とこの実力者を恨んでいる人を仲直りさせるため、
いくども説得を行います。
だがこの実力者は頑固者で洛陽の実力者が何人も彼を説得しても
その言葉を聞き入れることをしませんでした。
そのため恨みを買ってしまった実力者を説得するため、郭解に白羽の矢が立てられらます。
郭解は頼られたら解決するまで面倒を見る遊侠の人である為、
この実力者を説得するために洛陽へ向かいます。
そして恨みを買っている実力者へ言葉を尽くして説得。
郭解が説得したことによって恨みを買っていた実力者は郭解の言葉を聞き入れることになります。
だが郭解は自分がよその村の紛争仲裁をしてしまっては土地の実力者達の尊厳に関わると
感じて、恨みを買っていた実力者へ「私が説得したことにしてはこの地の実力者達に
迷惑がかかる。そこで後日この地の実力者をもうひとりこさせるように手配するから、
君はやってきた実力者の話を聞いて説得されたことにしなさい」といってその場を去っていきます。
この結果洛陽の実力者達は郭解を慕い始めたそうです。
上記のようなエピソードを「いかんぞ人の邑中の賢大夫の権を奪わんや」と言います。
人間関係をも配慮したリーダーらしいエピソードをのこした郭解です。
戦国史ライター黒田レンの独り言
これらのエピソードをのこした遊侠人・郭解。
彼は親分としてのリーダーを兼ね備えていた遊侠人と言っていいでしょう。
しかし若い頃から犯罪を起こしていた事と部下が郭解の怒りを知ると陰で
その怒りを買った人物を殺害していたことが
彼の人生に大きな影響を及ぼすことになるとは彼自身もまだ知りませんでした。
参考文献 史記司馬遷 村山孚・竹内良雄訳など
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