世界中、およそ人類が存在する土地には、必ず神話か宗教が存在し、
同時に固有の神というものが存在します。
では、少々乱暴は話ですが、それらの神々の中で戦闘力最強は誰なのでしょうか?
雷を操り、風を操り、大地を砕く、それらの神々から独断と偏見で、
最強神をランキングしてみましょう。
この記事の目次
No1. 古代中国最強の反逆の神 蚩尤(しゆう)
蚩尤は中国の神話に登場する神であり、姓は羌、炎帝神農氏の子孫とされています。
その姿は獣の体に銅の頭、鉄の額を持ち、四つの目と六本の腕と形容されます。
または、牛の頭に鳥の蹄を持ち、頭に角があるとも言われています。
石や鉄を食べ、超能力を駆使し、風、雨、煙、霧を巻き起こし、
無数の魑魅魍魎を呼び寄せる事ができる他、同じ姿をした兄弟が81人、
もしくは72人いて、それらも同じ能力を持っています。
考えるだけで目まいがする能力ですが、この蚩尤は、神は神でも悪神で、
性格は忍耐強く、勇敢、そして凶暴で決して満足しない貪欲さがありました。
やがて、蚩尤は、当時中国を支配していた黄帝を倒し自分が皇帝になるという野心を持ち
神農氏の世の末に、反乱を起こし、兄弟達のほかに魑魅魍魎を味方に引き入れて、
雨と風と煙と霧を操り、黄帝と涿鹿(たくろく)で戦います。
当初、黄帝軍は、霧による視界の悪さと魑魅魍魎に苦しめられますが、
黄帝は指南車というナビゲーション装置を使って霧を突破し、
次に龍の鳴き声に似た角笛を吹いて魑魅魍魎を怯えさせて、
その隙に押しに押し込んでとうとう蚩尤を捕えたと伝承されています。
この時、黄帝は蚩尤が逃げるのを恐れて、手枷と足枷を外さず、
首を切り落として絶命を確認してからようやく枷を取ったそうです。
また、蚩尤は兵主神に相当すると考えられた戦神で、戦斧、盾、弓矢など
優れた武器を発明したとも、元々は石や木であったこれらの武器を
金属製にして性能を強化したとも伝わります。
また、赤い色は蚩尤を殺した時に流れた鮮血から蚩尤を表すと言われ、
以後、中国の軍隊は、赤旗を蚩尤旗といい、黄色の旗で蚩尤を表し
蚩尤を倒した黄帝の黄旗と両旗を揃える事で、士気の高揚に利用したそうです。
中華人民共和国の少数民族である苗族は、この蚩尤の子孫と自称しているようで、
どうも、古代に三苗と中原の民族が覇権を争って戦い、蚩尤が破れたのが、
この蚩尤の神話のベースになっているようで、伝説により話は様々、
中には蚩尤が黄帝の重臣として登場する物語もあるようです。
No2. イメージと違う知的な戦闘神 北欧神話の主神 オーディン
オーディンはヴォータンとも呼ばれる北欧神話の主神にして戦争と死の神です。
これだけ聞くと、勇敢で戦争好きな神のようですが、そうではありません。
彼は、魔術に長けている他に、知識に対して非常に貪欲な神でした。
神話では、オーディンは、この世界の全ての事が知りたいと思い、
世界樹、ユグドラシルの根元のミーミルの泉の水を飲もうとします。
この泉は賢い巨人、ミーミルに管理されていて、ミーミルは、
「知識が欲しければ片目を寄越せ」と条件を出し、オーディンは、
ためらいなく片目をくりぬいて差しだし、知識を得たそうです。
また、ある時には、オーディンはルーン文字の秘密を知りたくなり、
ユグドラシルの樹に首を吊り、グンニグルの槍で我が身を貫いて
9日9夜、自分を生贄としてオーディン(つまり自分)に捧げました。
北欧神話の神々は不老不死ではなく、黄金のリンゴを食べる事で
寿命を延ばしているだけで、普通に物理攻撃で死ぬので、
このままだと窒息死ですが、この時は運よくロープが切れて助かったそうです。
また、ある時は、霜の巨人スットゥングが保有していた、飲むと、
カッコいい詩や知識がバリバリ入りインテリになれるという詩の蜜酒を
手に入れようと考えたオーディンは、魔術で美少年に変身し、
蜜酒を守っているスットゥングの娘のグンロズを誘惑し、
三日間、ウヒョ!した末に彼女を騙して蜜酒を持ってこさせ、
三口だけ飲ませるという条件で飲み、たった三口で全てを飲み干すと、
素早く鷲に変身して、故郷のアースガルズに逃げてしまいました。
詩の知識の為に女性を騙してしまったわけですが、
以後、オーディンは、吟遊詩人のパトロンになったのです。
こんな具合で、知識に貪欲過ぎて、賢いんだか変態なんだか、スケベなんだか
分からないオーディンは、9つある世界の頂点であるアースガルズにある
ヴァーラスキャールヴという宮殿に住み、世界中を見渡せる玉座、
フリズスキャルーヴに座り一日を過ごしています。
彼は、あまり宮殿から動きませんが、フギン(思考)とムニン(記憶)という
二羽のワタリガラスを世界中に飛ばし、情報収集を行います。
彼は、無類の酒好きでもあり、自分の食事は、フギンとムニンに与え、
自分は葡萄酒だけを飲んで生きているそうです。
肝臓が壊れそうですが、そこは神なので、大丈夫でした。
オーディンは、外出する時は、八本足の愛馬、スレイプニールに跨ります。
通常は長い髭を蓄えた老人の姿で、つばの広い帽子を深くかぶり、片目で
黒いローブを着た地味な老人として描かれますが、
戦場では、黄金の兜に黄金の鎧を着込み、青いマントを羽織るという、
派手な姿をしています。
このオーディンにはエインヘリャルという直属の軍団がついています。
彼らは人間であり、地上で勇敢に戦って戦死した勇者の魂です。
死後に戦乙女ヴァルキューレによってヴァルハラに集められてきて、
そこで彼らは全てオーディンの養子となり、日中は、仲間同士で
殺し合いをして武芸の腕を磨きます。
こうして、夕方になると死んだ者も蘇り、夜はヴァルハラ宮で、
ヴァルキューレの酌で飲めや歌えの大騒ぎをした後、
夜が開けると、再び、戦いに明け暮れる毎日を繰り返します。
どうして、こんなオカシな事をしているかと言うと、
北欧神話では、世界の終末、ラグナログ(神々の黄昏)という
巨人族VS神の最終戦争が決定されていて、エインヘリャルは、
その時に神の軍団として戦う事になっているからです。
とはいえ、不毛な事に、この戦いは、神のサイドが敗れ、
世界は一度破滅する事が予言されています。
オーディンも、奮戦し最後には、フェンリルという巨人族の
狼に噛み砕かれて死亡する宿命なのです。
その後、水没した世界は再生して、オーディンの息子達や、
一部の神は復活するのですが、オーディンは蘇りません。
No3. 強いけど中二病 日本神話の武神 スサノオノミコト
日本神話に登場する武神と言えば、スサノオノミコトが有名でしょう。
草薙の剣を持ち、ヤマタノオロチを退治した英雄として知られますが、
この人、最初の頃の神話では、中二病の体質の持ち主です。
スサノオノミコトは、父であるイザナギが黄泉の国から戻り、穢れを払おうと
泉で目を洗った時に、姉であるアマテラスと共に産まれます。
しかし、直ぐに高天原の主神としての役目を果たし始めた姉と違い、
スサノオは産まれた瞬間から、非常な大声で泣き出し、そのまま
髭が生えるような大人になるまで泣き続けます。
本当はイザナギ、スサノオに海を治めさせるつもりですが、
いつまで経っても泣きやまないので、ようやく
「何が気に食わないで、お前は泣いているのか?」と聞きます。
遅っ!いくら神様とはいえ、我が子が泣いているのを
髭が生えるまで放置プレイって・・
しかし、スサノオの返事は父イザナギの想像を超えるものでした
「お父ぅ!オラは、お母ぁに会いたいだよ!」
イザナギはズッコケますが、同時に言います
「バカな事を言うな、、お前の母は死んで黄泉の国にいるのだ
もう会う事は出来ない」
「嫌だ、オラは黄泉に行ってお母ぁに会うんだ」
反抗されたイザナギは、激怒して息子を高天原から地上に追放しました。
ところがスサノオは父には関心がないようで、清々し、そのまま
黄泉の国に向かおうとしますが、姉の事を思い出します。
「黄泉にいけば、そうそう会えなくなるし、お別れの挨拶をしよう」
そこで、空を飛んで高天原に戻ろうとしますが、元々、海を治めよとして
強力な力を与えられたスサノオですから、天に上るというだけで、
海は逆巻き、風は吹きすさび、大地は気味が悪い唸り声を上げます。
それを高天原から見ていたアマテラスは、その異様な迫力から、
スサノオが高天原を奪いにきたのだと早合点します。
なので、武装して尋問するようにスサノオを出迎えます。
「弟よ、お前は高天原を奪いにきたのか?」
「滅相もない、私は黄泉の国に行く前に暇請いに来たのです」
「ふん!信用できたものか!」
そこで、両者は誓約(ウケヒ)を行い、スサノオは勝ちますが、
アマテラスは勝手にルール変更を行い、自分が勝った事にします。
それに激怒したスサノオは、
「大人はずるい、汚い、姉上も嘘つきだ!!」と叫び(多分)
高天原で乱暴狼藉を繰り返し、結局、結託した神々により地上に
叩き落とされてしまうのです。
一方で、姉のアマテラスも、自分のルール変更が
弟の乱暴狼藉を招いた事を気にし、天の岩戸に閉じこもり政務を拒否しました。
こうして、世界は暗闇になってしまい、神々は慌てるのですが、
姉弟揃って、なかなかハタ迷惑な性格をしていますね。
その後、スサノオは、出雲に行き、そこで、怪物ヤマタノオロチに
娘を生贄に捧げないといけないと泣いている老夫婦に遭遇します。
そこで、スサノオはオロチ退治を申し出て、8つの頭を持つオロチに、
8つの酒の壺を用意して酔わせ、その隙に剣でオロチの8つの首を、
次々と切り落として退治しました。
死んだヤマタノオロチの尻尾からは、草薙剣が出てきて、それをスサノオは
高天原に捧げて、アマテラスと和解、草薙剣は、皇室の三種の神器になります。
こうして、スサノオは助けた娘、クシナダヒメを妻にしています。
No.4 雷を操るバラモン教・ヒンドゥー教の軍神 インドラ
インドラは、バラモン教、ヒンドゥー教の神です。
デーヴァ神族に属する主神で雷神の性格を持ち軍神でもあり
仏教にも取り込まれ、帝釈天の名前で知られています。
インドラは古い歴史を持つ神であり、3400年前のヒッタイトと
ミタンニの間で結ばれた条文の中にも名前が登場するようです。
インドラは雷神の性格が強く、姿は皮膚も髪も髭も茶褐色で、
アイラーヴァタという聖獣の白象を乗り物にしている他に、
七つの頭を持つ空飛ぶ馬、ウッチャイヒシュラヴァスもインドラの乗り物でした。
インドラの特に強力な武器は、工巧神のトヴァシュトリの造った雷を象徴する
武器ヴァジュラ(金剛杵)で、こちらを使い、ドカドカ雷を落とす派手な攻撃をします。
また、ソーマという神酒をガンガン飲む大酒飲みでもありました。
インドラの性格は、基本的に真面目で彼を信仰する人々を守り、
敵を撃滅する守護神の性格であり、人々を苦しめる凶暴にして、
尊大な大蛇ヴリトラや、トヴァシュトリ神の生み出した、
3つの頭を持つ怪物、ヴィシュヴァルーパやヴァラ、ナムチ
ダーナヴァ、ヴィローチャナ、マハーバリ、メーガナーダと言った
アスラ(魔族)やラークシャサ(羅刹)と戦っています。
ところが、バラモン教の時代には、最強で知名度もあったインドラも、
ヒンドゥー教の時代になると、シヴァ神やヴィシュヌ神に実権を奪われ
4人いる世界守護神の一人になります。
ヒンドゥー教でも変わらず、雷を操る強力な神ですが、出番が減って
影が薄くなり、同時に性格が変化して、女ったらしの部分が強化されます。
それも未婚者ではなく、既婚者ガウタマ聖仙の妻のアハリヤーに
手を出し、ガウタマの呪いをひっかぶり、女性器を体に千個つけられ
同時にチンポコを奪われる酷い呪いを受けたりしています。
また、無敵の軍神の評価も変化し、アスラ神族との戦いに敗れ、
天界を追われ、味方の力を借りて、ようやく支配権を取り返すなど
テリトリーの維持にも苦労する様子が描かれるようになるのです。
インドラは、インドとイランが分離する前から存在する神なので、
分離後に、イランで布教されたゾロアスター教の布教により
イランでは逆に悪魔の扱いを受けるようになりました。
インドではデーヴァ神族が善でアスラが悪ですが、
イランではデーヴァに対応するダエーワが悪になり、
アスラに対応するアフラ・マズダーが善になっています。
この為に、インドのデーヴァ神族はゾロアスターでは、
悪魔として登場しインドラも魔王の一人となります。
ゾロアスター教ではインドラは虚偽の悪魔であり、
正義と真実の霊アシャ・ワヒシュタと対立する存在となるのです。
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