周倉の被っているあの帽子は何て言う帽子?

2018年10月7日


 

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周倉

 

 

三国志には正史には登場しませんが演義では有名という人物がいます。関羽(かんう)のお供として有名な周倉(しゅうそう)もそんな一人です。

 

関羽と周倉

 

しかし、周倉の特徴と言えば、他に類例がない被っている珍奇な帽子でしょう。そのせいで三国無双8ではラテン系にされている周倉、では、あの帽子のような兜は一体何という名前なのでしょうか?

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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周倉の帽子は涼帽

周倉の帽子は涼帽

 

周倉のあのツバのついた帽子は歴史的には涼帽(りょうぼう)と呼ばれています。ツバのついたタイプやツバのかわりにふさふさしたファーがついている時もあります。いずれも漢族ではなく北方異民族の出で立ちであり、周倉の出身地とされる涼州のイメージに合わせて設定されている様子ですね。

 

周倉とホウ徳

 

検索で涼帽を探してみると、満州族の陣笠みたいな帽子も涼帽のようで、かなりデザインは幅広く存在するようです。その為か、掛け軸として関羽の供になっている周倉の帽子には、ただの布から鉄の兜まで様々なバリエーションが存在しています。

 

 

 



兜になっているときは?

信長の野望

 

逆に周倉の帽子が兜になっている時があります。あれは、笠形盔(かさなりかぶと)(兜)と言い、古く南宋時代まで遡る兜のようです。もう少し後の明の時代になると、鉢の部分とツバが分離するようになりますが、日本にも戦国時代に入ってきて、唐人笠形兜(とうじんかさなりかぶと)として登場してきます。

 

徳川家康

 

天下人、徳川家康(とくがわいえやす)が被っていた兜にも同じものがあるようです。

 

攻め寄せる蒙古兵(モンゴル)

 

三国志演義は明代の成立ですから、架空キャラの周倉は当時の異民族で漢民族の脅威だった蒙古(もうこ)女真族(じょしんぞく)の兜や帽子をモデルにしてデザインされたのでしょうね。

 

 

一騎打ち

 

 

周倉の帽子に引きずられる

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志

 

 

特徴的な帽子の存在もあり、三国志演義でも地味な活躍ながら周倉は、横山三国志では、布か皮っぽい四角形のツバを持つ帽子をかぶって登場しコーエー三國志では、そのものズバリな笠形兜を被った人物として登場します。もはや、ここまで来てしまうと周倉というキャラは、あの帽子で識別(しきべつ)されていると言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

帽子のお陰で三国無双8で登場

帽子のお陰で三国無双8で登場

(画像引用元:三國無双8)

 

そんな周倉、三国無双ではずーっとモブキャラ扱いでしたが、とうとう三国無双8では、主役キャラとして初登場を果たします。

 

さらには、その特徴的な帽子はソンブレロのように変化していて、ラテン系陽気な兄ちゃんキャラクターに変化していました。もし、あの帽子が無ければ、周倉の出番はもっと遅れたかも知れないのでまさに帽子サマサマと言えるのかも知れません。

 

 

 

水滸伝の林冲も笠形兜

水滸伝の林冲も笠形兜

 

コーエー三國志でも特徴的な周倉の兜、しかし、実はコーエーのゲームではあと一人被っている人物がいます。それは、コーエーの水滸伝の登場人物の豹子頭林冲(ひょうしとうりんちゅう)です。

 

 

林冲

 

 

どうして、水滸伝の林冲と三国志の周倉が同じ笠形兜を被っているのか?確かな事は分かりませんが、水滸伝も三国志演義も成立年代が明代でありキャラクターに流通性があったのかも知れません。

 

 

 

 

また、水滸伝は年代的には北宋の末で、南宋時代に存在した、笠形兜を被っていても違和感がないという事もあるでしょう。中国の歴史ドラマにおける林冲は、兜ではなくてツバの広い涼帽らしきものを被っています。

 

 

三国志ライターkawausoの独り言

三国志ライターkawausoの独り言

 

三国志演義を通して、変な帽子の人としてキャラ立ちしている周倉、ですが、中国においては、そのイメージは当てはまらないようです。

 

 

関羽の青銅像

 

 

というのも、中国においての周倉は神である関羽のお供として神格化され、涼帽も笠形兜も被っておらず、元帥帽や通天帽のような宝石と、白いポンポンを散りばめた派手な冠を被るようになっているからです。すでに人間ではないので、涼帽や笠形兜を被る必要がなくなって同時に、私達に馴染みのある周倉ではなくなっているのですね。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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