三国志平話
濡須口の戦い




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【三顧の礼】演義に書かれている意味深な詩を読んでみよう!




三顧の礼と劉備と孔明

 

劉備(りゅうび)諸葛亮(しょかつりょう)を自分の幕僚に加えるために、諸葛亮(いおり)を三度も訪問したという三顧(さんこ)の礼。

三国志演義(さんごくしえんぎ)では、隠士・諸葛亮の風雅な暮らしぶりを美しく表現したいためか、

やたらと詩がいっぱいでてきます。

そういう文学っぽいやつは物語の本筋と関係なさそうなのでざっと斜め読みすればいいやと

思っていたのですが、細かく読んでみると、なかなか意味深で面白いと感じました。

本日は、詩をちょっと細かく読んでみたいと思います。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:曹真を憤死させた演義の孔明の悪口ってどんだけ~

関連記事:諸葛亮孔明が残した兵法書はどれなの?便宜十六策の中身を一部紹介

 

 

意味深な詩1:農夫が歌っていたコマーシャルソング

貧しい村人

 

劉備が諸葛亮の住む庵を初めて訪問しようとした時のこと、途中の山の麓で次のような歌を

うたっている農夫たちがいました。

 

蒼天は円蓋の如く 陸地は棋局に似たり

世人は黒白に分れ 往来して栄辱を争う

栄える者は自ずから安々たり 辱めらるる者は定めて碌々たらん

南陽(なんよう)に隠者あり 高眠して()せども足りず

(※詩句は三国志演義李卓吾本によりました)

 

農夫たちによれば、この歌は諸葛亮が作ったものだということです。

歌の内容は、天下の情勢を囲碁にたとえながら、次のようなメッセージを発しているものです。

“負け組の劉備さんは人の下風に立っていてお気の毒ですなぁ。

私がこの南陽にいるんですけどねー。呼ばれもしないのにしゃしゃり出たりはしませんけどねー”

これは諸葛亮が劉備を誘っているコマーシャルソングです。

今回注目するのは、詩の押韻(おういん)のしかたです。

漢詩って、ラップみたいに句の末尾が韻を踏んでいますよね。

この詩は、局、辱、足で押韻しています。

これらの文字はいずれも古語で入声(にっしょう)と呼ばれる音で発音された文字で、

入声は語尾が詰まるような音であって、のびやかな耳あたりの音ではありません。

“劉備さん、困ってますよね? ククク、かわいそう。ボクを頼ればいいのに…”という内容の詩は、

劉備困ってる感を演出するために、わざと切迫感のある入声音で押韻したのではないでしょうか。

 

 

意味深な詩2:諸葛亮のお目覚めソング

諸葛亮のお目覚めソング

 

劉備が諸葛亮の庵を三度目に訪れた時、諸葛亮は部屋で昼寝をしているところでした。

庵の門番の童子が諸葛亮を起こそうとしますが、劉備はそれを止めて、諸葛亮が起きるまで

じっと待ちます。諸葛亮はたっぷり半日も爆睡したあと(というか狸寝入りでわざと待たせて

劉備の人物を試したのでしょう)、次のような詩を口ずさみます。

 

大夢誰か先ず覚む 平生我自ら知る

草堂に春睡足りて 窓外に日は遅々たり

 

睡眠から目覚めていきなり詩を口ずさみますかね。とっても狸寝入りくさいです。

この詩は、窓の外でじーっと待っていた劉備のことを太陽にたとえながら、

“あなたのような名主がそこまで私を欲しているのなら、私は起きますよ! ええ、起きますとも!”と

言っているんですね。諸葛亮(しょかつりょう)が狸寝入りをやめるまでじっと待つという茶番劇が終了した時点で

臥龍先生こと諸葛亮が臥龍(がりょう)じゃなくて起きてる龍になって庵を出ることはほぼ決まっていました。

さて、今回注目するのは詩の押韻のしかたですが、この詩は「知」と「遅」で押韻しています。

これらの文字はいずれも古語で平声(ひょうしょう)と呼ばれる音で発音された文字で、

平声はのびやかな音です。

“劉備さん、私が起つからにはもう安心ですよ~”という前途洋々な雰囲気を演出するために

平声で押韻したのでしょう。

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンの独り言

 

昔の人は本を音読する習慣があったので、作品の中の詩の発音はけっこう重視されていたのでは

ないでしょうか。劇や講談で三国志物語を演じることを考えた場合にも、音の印象は大切です。

読むのが面倒くさくってつい斜め読みしてしまう詩ですが、細かく見ると作者の工夫が見られて

面白いなーと思いました。

三国志演義は、歴史を度外視して文学作品として味わってもけっこう面白いかもしれません!

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:キーワードは劉備の最期一文字に託された陳寿の思い

関連記事:【徹底追及】劉備はどうしてあんないい加減な性格なのか?

 

関羽の弔い合戦「夷陵の戦い」を分析
夷陵の戦い

 

よかミカン

よかミカン

投稿者の記事一覧

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

何か一言:
皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。

妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。

読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

関連記事

  1. 三国志の時代は農民に至るまで腰に剣を佩いていた
  2. 袁術が天下を統一するためにみんなで考えよう【第1回】
  3. 王昭儀列伝|曹操に最も寵愛された女性
  4. 呂布(りょふ)は色白ハンサム?日中女子で違う呂布イメージ
  5. 表向き武力を用いない王朝交代劇「禅譲」、曹操と荀彧の思惑は?
  6. 挑発する諸葛亮孔明 愛されすぎてことわざになった人・諸葛亮(しょかつりょう)編
  7. 【そもそも論】どうして袁紹や袁術には力があったの?
  8. 曹操のハニートラップ作戦が義に生きた武人・関羽に通用するのか?

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 鍾会を説得する姜維
  2. 孔子と儒教

おすすめ記事

  1. 源氏と平氏はいつ歴史にデビューしたの?
  2. 羌・鮮卑・烏桓だけではない!南の異民族を徹底紹介
  3. 裴潜(はいせん)とはどんな人?兵力を用いることなく北方異民族をてなずけた魏の文官
  4. そうだったの?呂蒙が後を託したのは陸遜では無かった!
  5. 小栗忠順は天才だった?天才であったがゆえに招いた悲劇?
  6. 【はじめての三国志読者へお知らせ】あの袁術祭りのバナーを設置したよ!

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

58話:水鏡先生曰く、劉備に足りない人物って誰の事? 【真田丸特集】バツイチ女性が好きだった曹操と家康! キングダム580話最新ネタバレ予想、飛信隊覚醒には理由がある! 【三國志曹操伝 ONLINE 攻略最終回】三国志演義・曹操伝の第二章攻略ポイント 【キングダムをより楽しむ】河了貂と蒙毅が解説「軍師はどうやって誕生したの?」 5/2 はじめての三国志 Ustream番組「はじさんチャンネル」生配信決定 恩賜の御衣ってなに?三国志や源氏物語にも出てくるエピソードを紹介 【おんな城主・井伊直虎を見逃した方へ】第九話「桶狭間に死す」の見どころ紹介

おすすめ記事

  1. 孟宗とはどんな人?孟宗竹(もうそうちく)の由来は呉の親孝行ものであるこの人から!
  2. 【三国志の民話】情けない顔で帰ってくる周瑜に小喬ブチ切れ!
  3. kawauso編集長のぼやきVol.31「モノマネの本質」
  4. 孔明の死後から三国志の統一までをザックリ紹介
  5. 70話:孫権、父(孫堅)の弔い合戦を始めるよ。黄祖討伐編
  6. 近藤勇の墓は?新選組局長の最期の地をめぐる
  7. 郭淮の死は正史三国志と三国志演義では全然違う件 魏の旗をバックに戦争をする郭淮は魏の将軍
  8. 光武帝はとんでもないスピリチュアマニアだった!?劉秀の意外な一面

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“水滸伝"

“三国志人物事典"

PAGE TOP