京劇の楽しみ方、ルーツとは?元々は安徽省の劇だった?覇王別姫で知られる京劇

2019年5月22日


 

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中国語を学んだり、中国へ旅行したことのある読者は京劇(きょうげき)という言葉を耳にしたことがあると思います。北京旅行では生で見たという経験をした人もいるでしょう。

 

三国志ライター オフィス樋口

 

しかし、日本の歌舞伎(かぶき
)
のように歴史や面白さが伝わってこないという読者もいるはずです。ここでは、京劇のルーツに始まり、京劇の代表作を通して京劇の楽しみ方を紹介していきます。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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京劇のルーツ

 

京劇と聞いて、北京で流行した伝統劇かなと推測した読者もいるでしょう。しかし、もともとは安徽省(あんきしょう
)
の劇団が行っていた地方劇の一つだったのです。それがなぜ北京を意味するの字がついたのでしょうか。

 

 

 

清朝の乾隆帝が京劇のパイオニア!?

辮髪(べんぱつ)

 

中国人のイメージといえばラーメンマンのように辮髪(べんぱつ
)
にヒゲを想像する
読者もいます。その容貌が当たり前だった時代が清朝です。

 

イギリス海軍軍艦に吹き飛ばされる清軍船

 

英国とアヘン戦争を行ったのも清朝、編み込んだ長い髪は満州族の風習を市民に強要したものだったのです。清朝の最盛期は乾隆帝(けんりゅうてい
)
が統治していた時代。西はウイグル、南はミャンマーやベトナム、ネパール、東は台湾、北はモンゴルにまで版図を広げていました。

 

さらに乾隆帝は北京にある天壇や頤和園の造園、故宮の修繕など現在の北京にある歴史的な観光施設はほとんど乾隆帝の手によって造られています。少し北京を観光すれば乾隆帝の偉大さが自然と分かるでしょう。

 

その乾隆帝(けんりゅうてい
)
が80歳を迎えたとき、安徽省(あんきしょう
)
の劇団がお祝いに訪れました。中国で劇といえば、祝賀行事にかかせないものでした。日本の正月の獅子舞のような存在です。当時、乾隆帝の権力は絶大でしたから、上海に近い安徽省の劇団を呼び寄せるなど朝飯前です。これを機に安徽省の地方劇が北京に定着し、京劇となっていったのです。また、言語も南方なまりから北京一帯の北方方言へとシフトしていきました。これも北京市民の要望に応えるためだったのです。

 

 

京劇といえば「覇王別姫」

劉邦と項羽

 

京劇の代表作に「覇王別姫(はおうべっき)」があります。もちろん軍神・関羽(かんう)も人気の役柄ですが、ここでは項羽(こうう)劉邦(りゅうほう)がテーゼの「覇王別姫(はおうべっき))」を取り上げます。

 

項羽

 

覇王とは項羽(こうう)のことです。別姫とは虞美人(ぐびじん
)
で知られる「虞」のこと。虞は項羽の妻になったり、劉邦(りゅうほう)の妻になったりします。しかし、心から虞を愛していたのは項羽の方で死に際に虞美人のことを詩に詠んだほど。

 

項羽(はじめての三国志)

 

最終的に劉邦(りゅうほう)の元に虞は身を寄せるのですが、心の中では死んだ項羽のことを想っているのです。智謀知略に長けた劉邦は軍を使って政治を行いながら、虞美人も手にします。

 

項羽と劉邦

 

読者の中では項羽派か劉備派かに人気が二分するところです。政治面では失敗したものの愛する虞と幸せな時間を過ごせた項羽の生き方を支持する人もいるでしょう。

 

劉邦

 

はたまた、策によって生きながらえ、最終的に虞を自分の妻に迎える劉邦の方がいいと感じた人もいるでしょう。いずれにしろ京劇でも分かりやすい内容なので初めて見るにはぴったりです。

 

 

京劇を楽しむポイント

京劇の格好をした関羽

 

京劇はメイクによって役柄が決まっており、「赤」は必ず関羽です。また、一人だけおとぼけ役がいて、面白いメイクをしているので、すぐに分かります。そして、女役もいます。清朝の時代は歌舞伎のように男性が演じていましたが、現在は俳優のほとんどが女性です。

 

普通の中国語とは異なり、抑揚のある話し方をするので中国語に精通していないと聞き取るのは難しいでしょう。しかし、あくまでも劇なのでアクションシーンや決めのポーズなどは言葉が分からなくても理解しやすいように作られています。

 

もし、見る機会があったら、あらすじを少しだけ学んでから出かけると楽しめるでしょう。あくまでも俳優の演技を楽しむものなので、あらすじが分かっていても問題ありません。むしろ中国語が聞き取れないのならば、前もって知っておいた方がエンジョイできます。

 

三国志ライター上海くじらの独り言

三国志ライター 上海くじら

 

京劇の俳優が日本公演をした際に歌舞伎に触発されて、新しい京劇の形、演技方法を模索した時期がありました。また、文化大革命期に京劇は一時的に衰退。しかし、現在は復活し、北京や上海、大連、台湾などで見ることができます。日本で公演することもあるので、興味がそそるようなら行ってみるといいでしょう。

 

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上海くじら

三国志との出会いは高校生の頃に読んだマンガの三国志。 上海留学中に『三国志演義』の原文を読む。 また、偶然出会った中国人と曹操について語り合ったことも……。 もちろんゲームの三国無双も大好きです。 好きな歴史人物: 曹操、クリストファー・コロンブス 何か一言: 覇道を以って中原を制す

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